The means justifies the ends
@IT読者さん向けの無料週刊メルマガ「@IT通信」が今週で600号を迎えまして、その号になにかコラムを書いてくれとのことで、はなはだ僭越ではございますが、何か書きました。
メルマガのアーカイブは先月末までの号でやめちゃったようなので、ここで生原稿そのまま掲載させていただきます。問題有ったら言ってね>関係各方面。
以下、本文。
先週政府が開いたクールジャパン推進会議で、民間議員の秋元康さんから、クールジャパンのポスターやキャッチコピーづくりにクリエイターがノー・ギャラで協力すべきだ、という主旨の発言があったことが伝えられて、ネットの一部で盛り上がりました。
▼クリエイターは無報酬で協力? 金銭的にクールジャパンな秋元康さんの発言にネット冷ややか - ねとらぼ
さらに、その騒ぎを受けて、岩崎夏海さんが「日当が百万の人のお金を払えないという話なのに、みんな勘違いも甚だしい」と発言して秋元さんを弁護したということも報じられました。
▼「超有名クリエーターに相場のギャラは支払えない」 秋元康の発言を「もしドラ」の岩崎夏海が弁護(1/2):J-CASTニュース
国策「クールジャパン」の目的は貿易収支の改善です。日本発の「クール」な無形資産に海外の人がお金を払うように仕向けて、有形の製品を売る製造業が稼げなくなってきた外貨をもう一度稼げるようにすることです。ですから、その国策の予算は、日本のアニメやらソフトやらの「文化財」を海外の人がたくさん高く買ってくれる仕掛けのために使うのがスジなわけで、価値の源泉にあたる制作物を国がタダで召し上げるとか、政府予算で買い上げて海外に配るとか、まるでコメ政策みたいな議論になっているのが私ら素人にはさっぱり意味がわからないのですが、上の2つの発言のニュースソースがどちらもTwitter上のつぶやきだったことは今風だなあと感じました。
12年前、この@IT通信が始まったころ、私たち商業Webメディアは一人前のニュースソースとして世間から認知していただけるようもがいていた時期でしたが、いつの間にかネットのニュースソースは「民主化」されて、商業Webメディアはまとめ役に回っているわけです。
12年後、ネットのメディアはどういう形になっていて、私たちはそれにどのように関わっていくのか、もっと考えて、議論して、手を動かしたいと思っています。それが「クール」かどうかは関係なく、ね。