ソニーらしさ [変な新製品]
樋口 理 2003/8/2 11:59
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今はどうだか知りませんが、私がソニーで働いていた頃、社内ではなにかにつけ“ソニーらしさ”ということが問われていました。
その新製品はソニーらしいかとか、はたまた、そういう考え方はソニーらしいかといったように、業務上なにかの判断が必要なときに、判断の基準の重要なファクターとしてこの“ソニーらしさ”が使われます。何をもって“ソニーらしい”と言うのかという定義があるわけではないのですが、ソニーの“ファミリー”の全員が目に見えない“ソニーらしさ”のイメージを共有するような空気がありました。
私にはそれが窮屈だったのですが、外から見るとこの“ソニーらしさ”が熱狂的なソニーファンをひきつけている見えない力のような気もします。
その頃のソニーの製品は、えてして作り手がこの“ソニーらしさ”を追求するあまり、作り手のお気に入りの“ソニーらしい”機能やデザインだけが一点豪華主義的にフィーチャーされて、全体のバランスの中で突出してしまうという、ある種 neoteny (幼形成熟)なところが感じられた気がします。手段のためには目的を選ばない、といったところでしょうか。
最近のソニー製品はそういうところがなくなって、よく言えば総合的バランスが取れている、あくがない、オトナの製品になっているように思えます。それを突き詰めて行くとQUALIAになるんでしょう。ちゃんと入るべきものが計算どおりに入っているけど、何か雑味が足りない、濃縮果汁還元の100%ジュースのような印象があります。
しかし、昨日、新橋の烏森神社の近くの魚が旨い居酒屋で耳にした、ソニーの新しいネットテレビ(って言うんですかね、テレビの形をしたインターネット家電)は、久しぶりにこの“ソニーらしさ”がぷんぷん匂う、“お馬鹿”(ほめ言葉ですよ)なものでした。
未発表の製品なので詳しいことは書きませんが、ネット家電のユーザーインターフェースをあれこれ考えた末、そのユーザーインターフェースを実装するために組み立てていたら大きなテレビができちゃった、というイメージ。キーワードは「タクト」あるいは「エアホッケー」(これじゃなんのことだか、わからないか……ま、来週には発表になるそうなので、待っててください)。
かなり高価なものなので、量販店でぽんぽん売られることも、衝動買いでつい思わずお持ち帰りしちゃうこともないだろうけど、ソニー製品はとにかく全部買ってみるのだという昔からのソニーファン(本当にそういう人たちがいらっしゃるんです)にはたまらないものになりそうな気がします。
私自身はソニーに対して何のノスタルジーも感じないのですが、そんな私でも、こういう“お馬鹿”なものを商品化までこぎつける“好き者”がまだソニーの中に健在で、それを許したマネージメントもいた、ということを知って、なんだかとてもうれしくなりました。担当者に熱烈な拍手。
「QUALIAこそがソニー」じゃないよね、やっぱり。
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