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アメリカのオンラインビデオレンタルの Netflix。月額定額の会費を払えば、何枚でもビデオがレンタルできる、というインターネットサービスの老舗です。インターネットサービスなのに、レンタルしたビデオはオンラインでデータが送られてくるわけじゃなくて、DVD が郵送されて来て、見終わったらまた郵送で戻す(最近は日本でもぽすれんとか同様のサービスがありますね)。
デビュー当時から「インターネットサービスなのに VOD とかじゃなくて、ださい」みたいな意見があったみたいですけど、なぜあえて DVD 郵送にしているのかという疑問には、その当時から創設者自ら明確に答えています。
2002年12月号の WIRED 誌の記事 "
The Netflix Effect" より。
Hastings tells me that Netflix has its roots in a computer science course he took as a graduate student at Stanford. "The professor said, 'Never underestimate the bandwidth of a station wagon filled with backup tapes,'" Hastings remembers. Moving small bits of data at light speed can be far less efficient — and more expensive — than moving that information in bulk.
ざっくり訳すと、
(CEOの)Reed Hastings によると、Netflix の根っこは彼がスタンフォード大学の大学院生だったときに取ったコンピュータサイエンスの講義の中にある。Hasting は「教授が『バックアップテープを満載したステーションワゴン1台の帯域幅を甘く見てはいけないよ』と言ったんだ」と回想している。少量のデータのビット列を光の速さで(電気的に)送るのは、同じ情報をバルクで送るのに比べてはるかに効率が悪く、コストが高く付くことがあるのだ。
デジタルデータはネット経由で手に入れるのがすっかり当たり前になって、DVD 1枚ぐらいのデータは平気でダウンロードするようになってしまいました。
でも、そんな感覚を当たり前だと思って組み立てたプランは、ビジネス上は必ずしもベストだとは限らないわけです。
回線が速くなったとは言え、お客さんの環境によってはDVD 1枚分のデータをダウンロードするのに何時間とか一晩単位で待たせることは普通にあるし、それにかかる回線コストも高い。だったら早くて安くて安定していて、快適に視聴できる環境も普及している DVD の即日配送のほうがはるかに合理的だという判断をしたわけですね。
一方で、Netflix は、インターネット上のサービスであることを最大限活かして、その人の映画の好みを機械で推測して他のよい映画をうまく推薦したり、メメントのような「ロングテール」の映画を見事に掘り起こしたりして、快進撃を続けていることはご存じの通り。
技術の使い場所は上手に選びましょうね、というお話でした。
ootaharaさんのコメント:
VHS品質ですので、320×240でも確か1.5Mbpsの回線を占有しますので、ハイビジョンで見るならDVD郵送の方が有効なんでしょうね。