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3月11日の地震発生以来、各社ともメールマガジンでの営業活動を控えているようで、メールボックスがいつもより静かに感じます。
ひょっとしてスパムの類も自粛しているかと思い、私宛に届いたメールのうち
高性能スパムフィルター CRM114 が自動処分した毎日のスパムの件数をグラフにしてみたのですが、全然減ってませんね。
スパムの中身は相変わらずで、例のEDに効く青い錠剤(実物はたぶん、同じような色とカタチをした砂糖玉か「レメディ」みたいなもん)の通販とか、お付き合いして欲しいと称する女性からのメールを装った出会い系サイトの誘導とか、高級腕時計ロレックス(日本製ムーブメント使用の純正イタリア製!)の販売とか、まあまっとうなオトナはおよそ相手にしないだろうと思う中身ばかりです。
この人たちはなんでまた、いっこうに懲りる気配もなく同じスパムを送り続けているんだろう、と常日頃思っていたのですが、衝撃的な記事が今月号の Wired 誌に載っていました。
"
Equation: How Much Money Do Spammers Rake In?"(「方程式:スパマーの稼ぎはいくらぐらい?」)です。
今までもスパムの収益をフェルミ推定っぽく算出してみる試みはよくありましたが、この記事で紹介されている、カリフォルニア大学サンディエゴ校の大学院生
Chris Kanich とその仲間たちが行った研究は、アプローチとデータの精度がまるで違います。
スパマーがスパムを送信するときには、自分のコンピューターからは送信せず、インターネットに接続しているほかの人のコンピュータをコンピュータウイルスなどで乗っ取って、そこから送信させることが多いのですが(
私もやられたことがあります)、この研究では手元にある8台のコンピュータをわざとウイルスに感染させて、乗っ取らせました。
その上で、乗っ取られたコンピュータにスパマーが仕込んだスパム送信プログラムとデータをこっそり改造して、スパムメールがどれだけ届いて、どれだけ開封されて、そしてどれだけの人がいくらの品物を買おうとしたかを測定できるようにし、最後のクレジットカードの決済は通さずにエラー画面を出すようにした上で、スパマーがスパムを送るのをそっと横から観測したそうです。
その結果、わかったこと。
- 1人のスパマーが乗っ取ったコンピュータ1台で1日あたり送信するスパム:170万通
- 1人のスパマーが乗っ取るコンピュータの台数:約550台
- 受信者アドレスが不在などのエラーにならずに受信者に届く割合:23.8%
- スパムがISPのスパムフィルターをくぐり抜け、受信者がメールに書いてあるURLを開いてサイトを訪れる割合:0.0127%
- サイト訪問者が品物を買うコンバージョン率:0.266%
- 顧客あたり平均購買金額:$100 (「薬」の単価は $70〜$225)
1,700,000×550×23.8%×0.0127%×0.266%×$100≒$7,000。スパム業者一人で、毎日5〜60万円の砂糖玉が売れているということになります。
こりゃ、やめられませんなあ。よい子はまねをしてはいけないよ。