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Googleの従業員が実験で始めたorkut(オーカット)というソーシャルネットワークサービスが、先月末のサービス開始以来ものすごい勢いでメンバーを増やしています。
orkutの画面
ソーシャルネットワークというのは、インターネット上で知り合いの輪をつなぐサービスです。サイトに自分の名前、経歴、興味のある事柄などを登録し、登録した内容を他のメンバーに開示します。登録されている中から自分の友達を見つけ、その人を自分の友達リストに登録して、自分の友達の友達リストの中からまた新しい友達を見つけることができる、というものです。
アメリカでは、こういったしくみを使って「職探し=求人」サービスを提供するものや、新しい友達や「出会い」を提供するものまで、けっこう多くのサービスが人気をあつめていて、大きな投資の対象になっているものもあります。
orkutのメンバーの増え方は、他の同種のサービスに比べると2桁ぐらい速いような気がします。あちこちで言われていることですがユーザーインターフェースにいろいろこまかい工夫があって「ベースボールカードを集める感覚で友達を増やしてしまう」のが人気の秘密のひとつのようです。日本風に言えばメンコ集めですね。世代によってメンコ、切手、仮面ライダーカード、ベリカード、ビックリマンシール、ポケモンカードといろいろ違う形でしょうが、自分が持っていないアイテムを友達が持っているのを見せられると張り合って自分も必死に集めてしまうという習性に踊らされた記憶のある人は、Orkutでも友達リストを大きくしようと必死になってクリックしてしまう可能性が高いです。
orkutのFAQの中には“This was created as an independent project and is not part of the Google product portfolio.(これは、Googleの製品ポートフォリオの一部としてではなく、独立したプロジェクトとして創成されたものだ)”と書いてありますが、ホントのところGoogleは何のためにこのサービスを始めたのでしょうか。
ここから先は、邪推です。
orkutの
利用規約の中にある
By submitting, posting or displaying any Materials on or through the orkut.com service, you automatically grant to us a worldwide, non-exclusive, sublicenseable, transferable, royalty-free, perpetual, irrevocable right to copy, distribute, create derivative works of, publicly perform and display such Materials.
という文が物議を醸しています(orkutの「友達の友達へのメッセージ」機能で知らせてくれた人もいました)。
平野さんのコメントに日本語訳もありますので、参照していただきたいのですが、つまり、orkutに登録したデータやそれから派生するものの権利はorkut.comに帰属するというものです(個人的には、インターネットでこの手のサービスをやろうと思ったら、このぐらいの権利を主張しておかないと面白いことはなにもできないと思いますけどね)。
平野さんはソフトウェア会社の社長さんらしくorkutのBBSなどに書いたアイデアの権利のことを気にしていますが、インターネットのビジネスの視点から見ると、むしろ登録してある自分のプロファイルや友達リストといった情報にゼニの匂いを感じます。
分かりやすい例を挙げると、Googleでなにかを検索していたら、検索結果の右のAdWordsの欄に「それに関連してあなたのお友達の多くはこんなものもクリックしているみたいですよ」と出てくるとか、orkutのプロファイルをベースにして「東京に住んでいてこういう洋服が好きだと言っているからこんな広告が効くだろう」なんていう具合にグッとくる広告が表示されるとかしたら広告効果が上がる、つまり、広告単価が高くできます。プロファイルやリファレンスをデータマイニングしてマーケティングする、というやつです。インターネットバブルのころにも、こういうアイデアはよくあって、実際そういうことを標榜するビジネスも多かったわけですが、うまく行った例はあまり多くはありませんでした。しかし、今のGoogleの規模でこれをやると、目に見える効果が証明できるような気がします。
事実、
orkutのプライバシーポリシーの中の“how we use your information(あなたに関する情報をどう利用するか)”という項には
We may share both personally identifiable information about you and aggregate usage information that we collect with Google Inc. and agents of orkut in accordance to the terms and conditions of this Privacy Policy.
(樋口訳:あなたを特定可能な個人情報と、Google社およびorkutの代理人が収集した総合的な利用状況の情報との双方を、利用規約とプライバシーポリシーにのっとって共用するかもしれない)
と書いてあります。もちろん、邪推の域を出ませんけど。
何にせよ、シェアしたくない情報は登録しなければいいわけですし、住基ネットみたいに「人間が簡単に覚えられる固定IDを遍くばらまく」というようなたちの悪いリスクがあるわけではありませんから、プライバシーポリシーをしっかり守って、面白い展開を見せてくれるといいなと思っています。GoogleにはWebマーケッターの夢を実現し続けてもらいたいものです。
あ、そうそう。orkutはすでに登録している人からの紹介がないと入会できない仕組みになっています。私の友達で使ってみたいという方はご連絡くださいませ。
Yaginumaさんのコメント:
出会い系サイトの延長上にあるような気もするけど、人間てのはやっぱり群れを作る動物なんですかね。
それはそれとして、邪推しない方がおかしいよね。
(平野さん、元気そうですね。 昔よりさらに元気そうだなあ。 どうしちゃったんだろう? もしかして、会社がうまく行ってたりするのかな?)