The means justifies the ends
今朝がた、Facebook をチェックしていたら、こんなものが流れてきました。
Evernoteのフィル・リービンは「世界を変えたい」という理由以外では起業するべきではない、と言っています。この考え方に賛成ですか?反対ですか?
もとは、これ。最近なんかのピボットで始まったキクシルというQuoraのそっくりさん質問サイトに投稿された(たぶん)起業家志望の方からの質問。
ここのところ、起業した理由として「世界を変えるためには、起業が一番いい方法だから」といった事をおっしゃる方をよく見かけていたのですが(それも、たいてい、起業する前じゃなくて、起業した後かつぶれちゃった後から「後付け」で言っているんじゃないかとにらんでいるのですが)、こういうのが大量発生している理由のひとつは、これだったのかも。
日経ビジネスに連載されている、エバーノートCEOのフィル・リービンの連載インタビュー記事(リンク)。こんなことが書いてある。
けれど僕は1つだけ、起業家を志すまっとうな理由があると思っています。読者の皆さんは分かりますか?
それは「世界を変えたい」という理由です。
ここだけ読んで「起業の理由は世界を変えること以外にない」と誤読した慌てん坊さん(あるいは、そういうセリフを言うのが格好いいと思ったwannabes)が相当数いるらしい。
フィル・リービンは起業する目的のことを話しているように読めるけれど、実は起業して万一事業が成功したとしてそのとき得られる結果のことを話してる。
かいつまんで言うと、「『世界を変えたい』という理由以外では起業するべきではない」ではなくて、「『金儲けしたい』とか『高い地位が欲しい』とか『自由な時間が欲しい』とかいう理由で起業しても望みは叶わない。起業して万一成功しても、得られるものはせいぜい『世界を変えた』という満足感だけだ。それでもいい人は、意義があることだから、ぜひ起業しな。」と言っています。
だいたい、この記事のタイトルからして
ですもんね。
なので、最初の「この考え方に賛成ですか?反対ですか?」という質問に対する私の答えは「そもそもフィル・リービンはそんな考え方はしてません」です。
「世界を変える」なんていうとらえどころのないことを、社是とか、会社の「ビジョン」とか、悪くすると「戦略」に書いちゃってる君たち。はずかしいから、さっさと撤回したほうがいい。
あのヒトラーでさえ、漠然と「世界征服」を唱えるんじゃなくてドイツ民族への同一化と民族の生存圏拡大のための東側への領土拡大という明確なゴールを設定して第三帝国を「起業」して、ゴールのための戦略を作り、作戦を練り、現場で戦術を実行できる軍を作り、リソースを分配配置できる兵站を整え……損ねて負けちゃったもんね。
話がそれました。
やりたいことをやって成功した結果、世界が少し(あるいはたくさん)いい場所に変わった。それでいいんじゃないでしょうか。
ついでに申し上げると、やりたいことをやるのには、自分の会社を作るのが文句言う人も少なくて楽に思えるかもしれないけど、成功の確率を上げるためには必ずしも「起業」が最善の方法だということはないですよ。自分がやりたいことを実現するのに一番よい器と手段をみつければいいんだと思います。iMacやiPodを作るのにちょうどいい器として、自分が昔追い出された既存の会社を使った成功者だっているんだもの。
と、これだけ考えて、やっぱり起業がベストの手段だと確信したあなた。アーキタイプにご相談ください。ご支援申し上げます。
以上、ポジショントークでしたw