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今朝CNNの "You Can't Make This Stuff Up" で聞いたニュースによると、パリのディズニーランドで、お姫様の格好をして入場しようとした母娘のうち母親だけが入場を拒否されたとのこと。
テーマパーク側のプリンセス(左)と自作プリンセス(右)
MailOnline より
CNN の元ネタになった英 MailOnline の記事
"Mother and daughter banned from Disneyland... because they were dressed as fairy princesses" によれば
Disneyland confirmed it had a global policy banning adults from wearing fancy dress in their theme parks.
A spokesman said: 'No one over the age of nine is allowed to enter our theme parks in fancy dress. It prevents confusion.'
ディズニーランド側は、自らが運営する世界中のテーマパークで、大人がファンシーなドレスを着ることを禁止するポリシーであることを明らかにした。
スポークスマンは「9歳を超える年齢の人はどなたでもファンシーなドレスでの入場をお断りしています。混乱を避けるためです。」と説明している。
最終的に、この母親はホテルに戻ってジーンズに履き替えて入場したとのことです。
中には「お母さん、かわいそう」とか「ディズニー、厳しすぎ」という感想をお持ちの方もいらっしゃると思いますけど、ディズニーランド側にしてみれば、これは至極当然でロジックの通った対応なんですね。
ディズニーのテーマパークは、ディズニー的世界観を虚構の上に作り上げたファンタジーです。それはとても脆くて儚いものなので、テーマパークの隅々までこの世界観を壊さないように緻密に組み上げる努力をしています。
例えば、有名な話ですけど、ミッキーマウスのかぶり物をかぶったキャストは、お客さんの視野の中に必ず一人しか目に入らないように常に分散配置されているそうです。ミッキーは世界に一人(一匹か)だけの存在。パークの中では同時に複数のミッキーが見えることはあってはならないのですね。
バーバンクの HQ
以前、お勤めしていた検索ポータルサイトの会社がディズニーに買収されまして、形式上ディズニー関連企業の中の人になったことがあります。
バーバンクの有名な七人のコビトが屋根を支える本社ビルにも行きました。その中では、スーツを着たエリート達が、世界中の子ども達に夢と希望を与えるための虚構を作り上げるための努力を積み重ねていました(関係ないけど、エグゼクティブ用社員食堂では、ブルース・ウィリスがランチを食べている会社のエライ人たちのテーブルの間を歩き回って愛想を振りまいていました)。
ちょうど、日本でポストペットが流行っていた頃で「こっち側」のある人が「ディズニーでもミッキーがメールを運んで来て『電子メールだよ!』とか叫ぶメールソフトとか作ればいいのに」とけしかけたら、「向こう側」の人はそのすてきなアイデアを即座に却下しました。
ミッキーはみんなのヒーローだから、特定の人のための何かを運んでくるなんてことはしてはいけないんだそうです(クリスマスの郵便を郵便飛行機からばらまいたことはあるみたいですが、これはヒロイックな行為だからいいんでしょうね)。
一方、プーさんがメールを郵便箱に取りに行く、というのはアリなんだそうです。でも、プーさんは100エーカーの森から外に出ることはできないから、(同じクマなのに)ポストペットのモモみたいに、よその家にメールを届けに行って部屋に上がり込んだりすることはあり得ないし、そもそもプーさんはすこし間抜けなので、常に相手を間違えずにメールを配達するなどという仕事はやってはいけないんだそうです。だから、せいぜい100エーカーの森のはずれにある郵便箱まで届いたメールを取りに行って、森の中をうろうろするところ止まり。
聞けば、ディズニーのキャラクターはそれぞれこういったレギュレーションとルールが事細かに設定されていて、キャラクター毎に分厚いマニュアルになっているとのこと。ディズニーの管理職たる者、みなこういったマニュアルに精通していて、綿々と作り上げてきたキャラクター設定の世界を崩さないように日夜努力しているらしい。
中の人がそんな努力をしているのに、3千円かそこらの安いドレスを着たパチモンのプリンセスみたいなものにパークの中をうろうろされちゃ困るわけです。
せっかく作り上げたファンタジーを破壊する不純物は断固排除しなければならないのです。
夢を売って儲けるお仕事の舞台裏って、けっこう夢がないもんです。
ootaharaさんのコメント:
ちょっと違うんですが、在日米軍の基地にイベントで入る際に、ホームページ「本籍の記載のあるIDカード」が必要と書いてありました。
今の運転免許証には本籍が空欄なので困り果てて、仕方無く期限切れのパスポートを持って行ったのですが、
変なプラカードとかゼッケンとか付けて無かったためか、大半の見学者と同様、見せずに済んだ事があります。
衣装をユニクロで固めたのが勝因だったのかも知れませんが。