The means justifies the ends
この記事は身近な経営者さん向けメッセージです。だれとはなく……と一応書いておこう。胸に手を置いて考えてくださいね。
日経ベンチャー online の『困った会社見本市』に切込隊長がいいことを書いてる。『決断力のない経営者は不採算事業を切れない件』という記事。
ベンチャーに限らず(むしろ、ベンチャーよりもエスタブリッシュされた企業のほうが多いかもしれない)、経営チームを間近で見ていると、あるある。こういうこと。
企業を長年経営していると、その当時は「おっ、これはいける」と思っていた事業の目論みが外れたり商売自体が色褪せて、売り上げにはなるけれど利益が出ないケースがゴロゴロしだす。そうそう。で、そういうときに、
そのもうからない事業に従事している経営幹部は、その事業がなくなってしまうと威張る場所もなくなる。だから、グラフをでっち上げ、プレゼンに贅を凝らし、あの手この手で再建案を示してくる。新製品とか新バージョンとか新サービスで事業構造が変わったかのように利益率がみるみる上がり始めるグラフ。よく見せられたなー。
「あいつも頑張っているようだから」と妙な情をかけてしまい、結局、撤退時期がずるずると先延ばしになってしまうという判断をするんだよねー。「この次の新製品の結果の数字が見えてから判断することにしましょう」とか言って。
で、そういう会社に限って
事業どころか、いらなくなった不動産やゴルフ会員権とかがバランスシートに載ったままだったりするし、そういう風土に慣れきってしまった経営者さんは、えてして
よそ様から頼られたり話を持ち掛けられると断るのが下手で、
社長の思いつきやくだらない外部からの提案を真に受けて、本当は得意でもなんでもない分野の「新規事業」を立ち上げ、事業部門をこしらえて、慣れない社員さんをつっこんでみたりする。慣れないどころかやり方も市場の様子も知らない仕事なので、うまくいくはずもないんだけど。
いやー。一般論を書いているとは思えない。まるでどこかで盗み見されてたんじゃないかと思うぐらい、これまで見てきた案件で起こったことがビビッドに書かれていて、加担していた関係者として胸が痛みます。
というわけで、心当たりのある経営者の方(々)、友人として、この切込隊長の箴言を捧げます。
ダメな仕事はやるだけ無駄なのだから早々に撤退するに限る。時期を決めるか、予算を固めて、これ以上ずるずる行ったらこの仕事はやめる、という意志決定をきちんとして、一度決めたらなるだけ守るしかない。
そのためには、長年勤めてくれた社員にも辞表を書かせなければならないし、社内で批判が起きることも覚悟しなければならない。経営者とは本来、そのような仕事をして“苦にならない”人だけが就くべきポストなはずなのだが。
少しでも多くの『困った会社』と、そのステイクホルダーさんが、救われますように。
ひろしさんのコメント: