The means justifies the ends
報道によりますと、米 Newsweek 誌が今年いっぱいで紙の雑誌の刊行をやめて、オンラインデジタル版に一本化するとのこと。
紙媒体の広告収益が減って、経営が成り立たなくなったからだそうで。
雑誌ってお金を払って買っているからその売り上げ(販売収入とか呼ぶ)で経営していると思っている方も多いようですけど、この種の商業雑誌の主な収入源は広告掲載料(こっちは営業収入)です。お金を払っている代金は、乱暴に言うと紙の印刷とか流通とか販売コストの足しぐらいに思ってよろしい(もちろん、それぞれの雑誌によって比率は違うけどね)。
紙の雑誌をわざわざお金払って買ってくれる質の高いアテンション(注目)に対して、広告を露出させてあげる対価として、広告主から掲載費を取る。
ところが、みなさんの1日24時間、目玉2つ分の有限なアテンションは、ネットのニュースサイトの画面とか、YouTubeやニコ動のおばか動画とか、あちこち他に奪われて雑誌の誌面に向いてくれなくなってきたので、広告主も誌面に広告を出す魅力を感じなくなって、広告収益が悪化している、ということですね
20世紀の終わりに@ITを創業したころ、無料のWebサイトでどうやって飯を食うのかと、よく尋ねられました。そのときはこんな風に説明してました。
まず、収益モデルのこと。
そして、アテンションの環境のこと。
最後の「紙のパソコン雑誌はなくなる」は多分にポジショントークではあったのですが、意外に早いうちに世の中もそっちの方向に進んで、ほんとうにパソコン雑誌とかIT雑誌というものが店頭から消えて無くなるまで、そんなに時間はかかりませんでした(いまだに、企業の定期購読相手の雑誌とかは残っていますけどね)。
あれから10ン年。IT業界じゃない人も、普通にWebとスマートホンで情報に接触するほうが多くなった今、パソコン雑誌に限らず、一般の皆さん相手の雑誌が行き場を失うのは自然な流れではあるのですが、大看板の Newsweek が、こんなに早く逝ってしまう、いや、次のステージに踏み出すとは。ちょっとだけ意外に思ったのは、きっと私がもう古い人間になっちゃってるからかもしれません。
さて、業務連絡です。ITmedia で、スマートホン専用ニュースサイト「ITmedia News スマート」が始まっています。朝の通勤中に、スマホでニュースを読み込むのにちょうどいいように、いろいろ工夫した設計と運営になっています。ブックマークしておいて、毎朝チェックするといいですよ。くわしくはこちら。