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前回の記事でちょっとだけ触れた、ブログとグーグルの親和性についての考察です。
実はこのこと、この3年ほどずっと確信していて、
UNIX USERや
インターネットマガジンの記事、それから
去年のLightweight Language Weekendのセッションでも満を持したつもりで触れたのですが全然反響がなかったので、リリースウィンドウを変えて(笑)Webのロングテイルの肥やしに。
ブログとグーグルによる超ロングテイルな知のネットワークを可能にする鍵は、一つのトピック(エントリー、あるいは記事)が、固有の永続的なURL、つまりPermalinkを持っていることにあるんじゃないかと思うのです。
古典的
*1なWeb日記の書法とブログの書法を比べてみるとよくわかるのですが、
- 旧来のWeb日記は1ページの中に複数の日の日記が巻物状に書かれていて、1日の中にさらに複数の話題が混在する。
- ブログは、記事を日付順に並べたインデックスは別途あるけれども、最小の構成単位はHTML1ページ=一つの記事で、それぞれの記事は一つの話題についてのみ触れてあり、それぞれの記事を特定できる個別のURL(Permalink)が割り当てられる
という違いがあります。
「それがどうした」と言われそうなあたりまえのことなのですが、たったこれだけのことによって次のような効果が現れます。
- 記事の最小単位であるPermalinkごとの各ページには、著者が話題にしたい事柄だけがつづられていて、他の無関係な情報の混入が少ない。
従って、それぞれのページには特定の事柄に関連が深いキーワードの密度が高い。 - 他のブログなどから、その特定の事柄に対するリンクが張られる場合も日記のインデックスページではなくPermalinkに対して張られ、またそれが推奨される。
従って、リンク元での話題とあいまって、グーグル的には話題の事柄とPermalink先のURLとの関連付けがますます強まる。また、PageRankも上がる。 - 上の2つの結果、興味を持っている事柄をグーグルで検索すると、驚くほど関連性の高い「マイナー」なページが的確にヒットする。
たまたま、今はグーグルが隆盛を極めているのでブログとグーグルとの親和性と書いていますが、もちろん関連付けをするエンジンはグーグルでなくてもかまわないわけです。ここで本質的なことは「特定の事柄に関する記述が固定で永続的なURLを持っている」ということで、これは将来ますます大きな意味(それが何かは、まだわからないけど)を持ってくるように思えます。そんなわけで、いつか、どこかで、だれかの小さな役に立つかもしれないと信じて、私は日々の小さな思いつきや出来事をテキストに変える作業を続けるわけですね。
このことに比べると、ブログの他の特徴とされるトラックバックなんて、所詮トラフィックの潤滑油ぐらいなものに見えてしょうがないのです(てなことを書くといろんな方面から声が上がりそうですね。あらかじめ、ごめんなさい)。
コンテンツが中心のWebサイトではコンテンツの生成と管理のコストを下げるためにCMSを使い、場合によってはデータベースシステムを使ってHTMLページをダイナミックに生成することも多いのですが、その場合も、それぞれの記事が固有かつ固定のURLを持っていることが大事だということです(
REST的な考え方のおかげもあって、普通のCMSはまずそうなってるとは思います)。また、著作権やらいろんなオトナの事情で、記事を一定の期間だけしか公開しないコンテンツサイトも多いですが、これは知のネットワーク的にはあまり歓迎されないことがわかります。
身内のことで恐縮ですが、
@ITの場合、すべての記事のすべてのページが固定のURLを持っていて、過去の記事も消えることなく同じURLでWebに公開してあります。
記事が固定のURLを持っているのは創業当時、想定していたページレイアウトの自由度を実現できるCMSがなかった(ので、1枚1枚DreamWeaverで手書きして、FTPすることにした)という消極的な理由によるものですが、すべての記事をそのまま保持しつづける方針を貫いた新野編集長の先見の明に脱帽です。おかで、今はグーグル様からのトラフィックも潤沢で、他の同様のサイトに比べると外部からのトラフィック誘導に苦労することは非常に少なくなっています。
ところで、直接は関係ないことですけど、最近トラフィック欲しさだけのためにトラックバックを乱用する人が多くて辟易しています。
例えば、グーグルで「iPod blog」とか「ソニー blog」などと検索すると、このブログの記事が比較的上位に出てくるのですが、それを見つけ出しては(このブログは、どういう検索キーワードで検索して、いつどこから訪問しているか一目でわかっちゃう)その記事にトラックバックを入れるiPodやソニー商品のオンラインショップが後を絶ちません。商売がらみだけでなく、純粋なブログからでもこちらの記事とまったく関係がない内容なのに、たまたまキーワードが一致しただけでトラックバックを奪っていく人たちの多いこと。
こういう行為が知のネットワークの精度を下げていくんだよねー。
というわけで、このブログでは、記事の内容に直接関連がない場所へのトラックバックはお断りしております。どうぞよしなに。
*1: 無用な誤解を避けるために蛇足ながら付け加えておくと、「古典的な」というのは「tDiaryより前の」というぐらいの意味……かな?tDiaryは、無論、この文脈では日記側ではなくブログ側、と読むのが正しい。
miyanoさんのコメント:
相変わらず勉強させてもらってます。