The means justifies the ends
音楽室や放送局のスタジオとかの壁に有孔ボードを使っているのを見たことありませんか?
あれ、吸音、つまり部屋の中から出た音を壁でちょうどいい具合に吸い込んで反響を抑えるために使ってるんです。
なんで穴あき板で音が吸収できるのかを説明するのに出てくるのがヘルムホルツ共鳴器。
熱力学第一法則などで有名なヘルマン・フォン・ヘルムホルツが作った、こんなやつ。
ヘルムホルツ先生がこれを使って説明したのでこの名前がついているのだけど、シンプルなモデルにするとこんな絵。
空洞に細い入り口の「首」を付けた構造を作ると、中の空気がバネみたいに作用して、空洞の大きさと首の長さに応じた周波数の空気の振動(つまり音)に共鳴する、というもの。
オーディオのスピーカーボックスを自作する人なんかには「バスレフ」としておなじみの、低い周波数に共鳴してハコの大きさの割に低音がよく出るようにする仕掛け。
楽器の胴にサウンドホールをあけるのもこれ。
共鳴したら音が大きくなると思うかもしれないけれど、共鳴している周波数を中心に音の運動エネルギーを吸い取る働きをするので、例えばクルマのマフラーについているサイレンサーなんかは低い音に共鳴するような大きめの共鳴器で低めの音を消しています。
で、有孔ボードとこれの関係はというと、有孔ボードの孔がこの「首」の穴に相当して、ボードの向こう側の空間が空洞に相当する。だから、有孔ボードだけぽつんと置いていても効き目はなくて、ボードの向こう側に閉じた空間を作ってやる必要があります。
閉じた空間の中に重ための綿みたいなものとかグラスウールとかを詰め込んでおくと、空気の振動との摩擦で振動エネルギーを奪って熱エネルギーに変える、つまり、共鳴している音もすばやく消してしまうので2度おいしい。
というわけで、今日は唐突ではありますが、ヘルムホルツ共鳴器とその吸音作用についてのお話でした。
これはなにかの伏線にちがいない。
スケルトンさんのコメント: