The means justifies the ends
先日書いた“有孔ボードで吸音できるわけ [ヘルムホルツ共鳴器]”という記事に、“有孔ボードは防音できる?”という検索キーワードでたどり着いている方がいらっしゃるようなので、豆知識。
有孔ボードは防音じゃなくて、吸音のために使います。
音響工事で、吸音と防音、あるいは遮音は何が違うかと言いますと、
なのであります。
吸音するには、反射面である床や天井などに有孔ボードを使ったヘルムホルツ共鳴器で特定周波数周辺の音を共鳴させて吸い込ませたり、グラスウールやロックウールなどの重たい繊維を張り詰めて、空気の振動するエネルギーを摩擦で弱め(実は熱エネルギーに変換し)たりします。吸いこまれた音は部屋の外に出て行かないので防音・遮音効果もあるといえばあるわけですが、特に低い周波数の音などはこういった吸音装置ではあまり減らないので、漏れやすい。
で、低い音までしっかり遮るためにはどうするかというと、これはもう、空気の振動エネルギーでもびくともしないもの、つまり重たい壁で遮るしかないです。
コンクリートの壁とか外の地面という重たい層で覆われている地下室は、防音・遮音効果が抜群です。マンションの床や壁越しに音が伝わらないようにするためには、床材とか壁材の裏に重たくて低い周波数の振動までしっかりとめてくれる板をびっしり貼ったりします。アメリカのホマソート (Homasote) が作っているその名も SoundBarrier なんていうのを壁の石膏ボードの裏とか、床のコンパネの上に貼ると、けっこう有効。
Homasote 440 SoundBarrier -- http://www.homasote.com/products/440-Soundbarrier.aspx
以上、吸音と防音の豆知識でした。
ご参考:地下室の吸音施工の例 http://building-a-house.info/hifi_room/