The means justifies the ends
家電製品を、「電子機器」と「電機」に分類することがあります。
電子回路で信号を処理する、ラジオ、テレビ、AV機器、デジタル家電などの「電子機器」に対して、電気の力でモーターなどを動かして動力でなにか仕事をする、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの「電機」です。
ソニーやJVCといった会社は電子機器専業メーカー(ソニーは、むかし電磁調理器とか電機をやったこともあるけどね。あ、電気ざぶとんも)で、パナソニック、日立、東芝といった会社は両方やっている総合家電メーカー。電子機器と電機ではメーカーの業界団体も別々で、前者を作るメーカーの団体は電子技術産業協会(JEITA。昔のJEIDA=日本電子工業振興協会)で、後者は日本電機工業会(JEMA)の管轄。
電機のほうを営業の現場で「白物家電」と言いますが、それに対応して電子機器のほうを何と呼ぶかが今日のお題。
私が設計者としてソニーに入社したのは1985年なのですが、その頃に企画だか営業の先輩から教わったのは「白物」と「茶物」でした。
ところが、最近、某大手総合家電メーカー出身の私より二回りぐらい若い方のツイートで「黒物家電」というのを見かけて、びっくりして「昔は茶物って言ったんだがな」とからんだら、逆にびっくりされてしまいました。その後、何人か電機業界やその周辺の方からも「茶物なんて聞いたことない」「黒物としか言わない」とのリアクション。
ちなみに、当時私が聞いたところでは、白物と茶物という呼び方は英語圏で使われている white goods と brown goods という業界 jargon の直訳だということでした。1970年代ぐらいまでのテレビとかオーディオセットは、大きな木目調のキャビネットが普通だったので、白っぽい冷蔵庫や洗濯機に対比して、そう呼ぶのだ、という説明でした。
ちょっと調べてみると、英語圏といっても、米国では使われない、英国固有の言い回しのようで、ウェブスターの辞書には載っていませんが、オックスフォードにはちゃんと載ってました。
オックスフォードより。
television sets , audio equipment, and similar household appliances. Compare with grey goods, white goods
今でも JETRO の資料なんかには、日本語で「白物家電」と「茶物家電」と書いてあるのですが、言われてググってみると、それ以外で「茶物」という呼び方はあまり見かけないようです。
「白物」と「茶物」だと、25年以上思っていたのですが、いつの間にか世の中では「白物」と「黒物」と呼ぶようになったらしい。
考えてみれば、茶色の木製キャビネットに入っているのが普通だったテレビも、1970年代の終わり頃に黒とシルバーが席巻するようになってからずいぶん久しいので、黒物のほうがごく自然な呼び方なわけではあります。
はたしてこれは、ジェネレーションの違いなのか、それとも、あれはもしかしてソニーの中だけの呼び方だったのかしらん。
ootaharaさんのコメント:
1960年代の生まれですが、黒もの、茶ものは初めて聞きました。