レビューというほどのもんじゃないけど、書いておこう。iPhone を使って衝撃的なのは、やはり手許の小さなアプリがネットに常時つながっていることの気持ちよさ。理屈ではわかっていたつもりだけど、体感すると、これは確実に生活の習慣を変えると思う。
自宅の PC が ADSL で常時定額でつながりっぱなしになったときと同じぐらい、いやそれ以上に破壊的。
……なんてことを言うと、ケータイ 1.0 な人たちは「それは、iモードで実現されてたでしょ」とか言いそうだけど、まるで違うんだなぁ。
これまでの携帯のネットサービスって、ネットとデバイス+アプリの連携が「疎結合」で、なんというか、
ダム端末からメインフレームをTSSで使う感じ。一方、iPhone は、手許のデバイス+アプリが UI などの
“おもてなし(©中島聡)”をしっかり提供しつつ後ろのネットのサービスをテコのように使って大きいことを実現してくれる感じ。
クライアントとサーバーの連携が密なことではPCのクラサバ(死語)システムに近いけど、サーバー側がネット上にあって他の人とオープンにつながっているところがまるで違うし、そもそもPCと違っていつも手中にあるデバイス、かつダイヤルアップとか考えなくてもつながりっぱなし、というのが決定的に違う。なにかやろうと思ったときに、
直情的にすぐやれちゃうのは生活を変える大事な要素ですね。
たとえば、中島さんとmasuidriveさん(iPhoneで増井さんというと、
pitecanな増井さんもいるからややこしい)が立ち上げた
Big Canvas PhotoShareなんかいい例。デジタル写真を共有するという「直球ど真ん中」なサービスなので、PCやケータイ 1.0 の人から見ると、一見デジカメからPCで写真を Flickr にアップロードするのや、ケータイで取った写真を VOX で moblog するのと変わらないように思えるかもしれない。
個々の機能を分解して比べてみるとたしかに同じように見えると思う。でも、
- デバイス+アプリ+ネットの3層システムのおかげによる、おもてなしの良さ+ネットサービスのレバレッジ
- 手許デバイス(iPhone のカメラ)とネットが常時みっちりつながっているおかげによる、生活リズムとの密着間
が相まって、ネットのサービスが生活の一部にとけ込んでくる感じが心地よく、これはまったく別物。世界観が、いや、
信じる神が違う。
今までの携帯ビジネスって、デバイスメーカーさんの競争と、疎結合したサービス事業者の競争を、実はキャリアさんがコントロールしていたわけだけど、アップルはこの
ゲームのルールを変えようとしているわけだね。デバイスメーカーである
アップルは、競争の場所をアプリとネットサービスの融合体に移すことと同時に、デバイスメーカーやキャリアさんのコントロールからアプリ+ネットサービスの自由競争に移すことに挑戦しているわけだ。
競争の場所を上のレイヤーに移してやることで、自分のレイヤーはプラットフォーム事業として盤石になる。これって、PCメーカーの「独自機能」の競争だった市場を、Windows というプラットフォームをこしらえて、さらに競争の場をその上のアプリやサービスという外部経済にゆだねたマイクロソフトのやりかたと似ている、とあらためて思いましたとさ。
[7/14 14:00 追記] あ、そうそう。ローカルアプリケーションとネット側サービスの融合の妙で言うと、
駅探のアプリがすごい。これは、ほんとにすごい。これ使ったら、もう、i-mode なんかの
ダム端末版乗り換えアプリには絶対に戻れないね。
みんな、使ってみるべき。同じ戦場のように見えて、実は戦いのルールと武器が一夜にして変わったんだってことを実感できると思う。
miyanoさんのコメント:
駅探もNAVITIMEも素晴らしい出来栄えだと感じました。