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The means justifies the ends

ささやかな静寂を買う [NoiseBuster ®]

[PR] 本ブログの商品紹介リンクには広告が含まれています

NoiseBuster
ちょっと昔、外資系のソフト会社に勤めていて海外出張が日常茶飯事だった頃、当時いつも利用していたユナイテッド航空で機内音楽用のヘッドフォンとしてノイズキャンセル機能付きの物が使われている機体に乗ったことがありました。
半信半疑で使ってみると、意外なほど周囲の騒音が消えて、静かで快適なフライトを楽しめました。
モノ好きのサガで、市販されているんなら買いたいなとそのときは思ったのですが、会社が変わって飛行機に乗ることすら滅多になくなってしまって、すっかり忘れていました。 ノイズキャンセル機能付きのヘッドフォンというのは、そのヘッドフォンをかけていると、外の音が消える(小さくなる)機能がついたヘッドフォンのことです。ヘッドフォンについたマイクで周囲の音を拾って、その音の逆相の音を合成してヘッドフォンから流すことで、ヘッドフォンの外の音を打ち消してしまうというしかけです。
理屈ではわかるのですが、そううまく動くものだろうかと疑っていたんですが、実物を使ってみると思いのほか効果が高くてびっくりしたのを覚えています。
最近ひょんなことからBoseのQuietComfortという同様の機能をもったヘッドフォンのページにたどり着いて、そのときのことを思いだし、物欲が鎌首をもたげました。しかし、さすがBose。定価39,800円と、衝動買いをするには微妙な値札がついています。
「そういえば、ソニーもいくつか出していたな」と思いGoogle様のお告げを聞いていると、米国製のNoiseBuster (ノイズバスター)という製品にたどり着きました。この製品を出しているNCT Groupはノイズリダクション専業の技術会社らしく、この製品も記憶の奥にかすかに残っているUAのヘッドフォンによく似ている気がします。しかも定価たったの39ドル!Boseと一桁違うやんけ!AIDMA*のIDMをすっ飛ばして、我に返ったときにはショッピングカートのボタンをクリックしてしまっていました。
こういう価格の安いものを海外のショップで買うと、えてして商品の価格と送料が大して変わらないということになってしまいます。何かのついでにその国に行ったときに買えればいいのですが、最近海外に出る用事がないのでそうも行かず、できるだけ送料の安そうなところで買うのが肝心です。「海外はFedExでお送りします」なんていうショップは遠慮して、地道にUSPS (郵便小包。UPS とは名前は似てるけど、まるで別物よ) で送ってくれるショップを探します (AIDMAのIDMをすっ飛ばしている割に、こういうところは細かい)。今回はNoiseBusterのサイトに載っていたDiscount-Electronicというところでオーダーしてみました。値段は$31.99。「送料は仮に25ドルでオーダーしておいてくれ、あとで差額をクレジットカードの口座に返金する。」と書いてあるので、そのとおりにします(今Amexのサイトで確認したところ、$11.00返金されていました。S&Hは$14.00ということになります。S=郵便料金が$9.50でしたからH=荷造り手数料が$4.50。良心的と言えましょう)。しばらくすると人間がタイプしたらしいオーダーの確認のメール、続いて発送したことを知らせるメールが入ってきました。で、それから4日後には郵便受けに荷物が押し込まれていました。荷物は、店頭販売用のPETの吊り下げパッケージに入ったヘッドフォンをそのまま封筒に入れて郵送されてきました。やや乱暴ですが、幸いPETのパッケージにへこみすらない状態で届きました。
中身を確認するとNCT社の純正NoiseBusterではなく、MaxellブランドのHP-NC1というOEM品でした。純正品にはノイズキャンセル機能の効きを調節するスライダーがついているがHP-NC1にはそれがなく、代わりに一部の航空機のヘッドセット端子につなぐための変換プラグがついている、という説明をどこかのサイトで見ました。
変換プラグ 変換プラグ

AAA (単4) の電池2本で100時間動作すると書いてあります。旧バージョンは6Vの積層電池 (そんなもの、いまどきどこに売っているんだろう) で、あまり電池も持たなかったという記事がありましたから、ずいぶん良くなっています。
さて、電池を入れて実際に使ってみると、たしかに周囲のノイズ、とくに低い周波数のゴーッというノイズがすっきり消えます。一方、高い周波数成分には聴感上あまり効果が感じられません。車のロードノイズとか、飛行機のエンジンや風きり音には相当の効果がありそうです。と、コトバで説明してもなんなので、手許にあった小型のエレクトレットコンデンサマイクを耳の穴に押し込んで、その上からこのヘッドフォンをかけて、近くで旧式の掃除機を動かしながらヘッドフォンのスイッチをON/OFFしたものを録音してみました()。PCの小さいスピーカーではもともと低い音が出ていないのでわかりにくいかもしれません。大き目のヘッドフォンなどで聞くと、近い雰囲気になりますが、現物はもっともっと効果が大きく感じられます。
5,000円とちょっとで、ヘッドフォンステレオが普通の音量で楽しめる程度の静寂が買えるのは、ちょっとした驚きです。


AIDMA: アイドマと読む。古くからのマーケティング用語で、消費者が商品の購入にいたるまでのプロセスはこうなっているんじゃないか、という仮説のひとつ。アメリカの誰かが提唱したらしい(工学部出身なもんで学がありません)けど、アメリカのマーケティング屋さんの口からこのコトバを聞いたことがありません。
Attention (商品への“気付き”があり)→ Interest (商品への興味を持ち始め)→ Desire (商品が「欲しい」という欲望が起こって) → Memory (次にその商品を売っている現場に出くわしたときに記憶を呼び戻され) → Action (実際に買う) というふうに、認知から感情が高まって購買行動に移るのだ、という仮説のそれぞれのステージの頭文字を取ってAIDMA。「マーケティング」というお仕事は、AIDMAのそれぞれのステージを後押ししてあげるような施策をあれやこれやと繰り出すことの積み重ねです。
「インターネットのショッピングじゃ、AIDMAのIDMがなくて、商品に気がついたらその場で『あっ、あっ』って買うボタンをクリックしちゃうんだよね」というのは、ソニーマーケティングで宣伝を担当していらっしゃる渡辺智秋さんの名言。そのとおりだと思います。

コメント

ゆーいちさんのコメント:

AIDMAというのは、あくまでも、
セールス側が消費者の購買意欲を促すために消費者側に踏ませるステップであり、消費者独自がイニシエートするプロセスではありません。ですので正しくは、

Attention:賞品を認知“させ”
Interest:賞品への興味を“持たせ”
Desire:賞品のWANTS&NEEDSを意識“させ”
Memory:賞品を再認知した時に、記憶をよびもど“させ”
Action:実際に購買してもらうためのアクションに出る。

です。
混同されませんように、ご注意下さい。^^
2003/6/28 07:49

ゆーいちさんのコメント:

AIDMAというのは、あくまでも、
セールス側が消費者の購買意欲を促すために消費者側に踏ませるステップであり、消費者独自がイニシエートするプロセスではありません。ですので正しくは、

Attention:賞品を認知“させ”
Interest:賞品への興味を“持たせ”
Desire:賞品のWANTS&NEEDSを意識“させ”
Memory:賞品を再認知した時に、記憶をよびもど“させ”
Action:実際に購買してもらうためのアクションに出る。

です。
混同されませんように、ご注意下さい。^^
2003/6/28 07:52

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