The means justifies the ends
真空管アンプを作っていたら、道草してついうっかり高級ヘッドホンアンプができてしまったお話です。
真空管アンプを作るのに回路や実装技術のことを調べ物していると、何度も「ぺるけ」さんこと木村哲さんの「情熱の真空管」というサイトのページにたどり着きました。
情熱の真空管
http://www.op316.com/tubes/tubes.htm
とても勉強になるお役立ちサイトなので隅々まで読み込んでいたら、すごく気になるアンプの製作記事が目にとまりました。
FET式差動ヘッドホンアンプ Version 3
http://www.op316.com/tubes/hpa/version3.htm
ボクぐらいの世代でちょっと電子回路をいじったことがある人のハートをわしづかみにするポイントがたくさん。
部品リストを眺めていたら、家にある手持ちの部品で大部分まかなえそうじゃないですか。作らねば!
部品の中でいちばん入手が厳しいのが初段のFET。2SK170。そもそもディスコンで手に入りにくくなり始めている上に、無調整で差動動作させるのでバイアス特性が揃ったものを選別しないといけません。
AliExpressかどこかで100本単位で買ってきて、特性を測定して揃ったモノを4本選び出すという富豪的アプローチもアリと言えばアリですがもったいない。ありがたいことに設計者のぺるけさんが特性をそろえたセットを頒布してくださっているので、それを使わせていただきます。
部品頒布
http://www.op316.com/tubes/buhin/buhin.htm
そのほか、手持ちになかったので新しく買った部品は以下のとおり。
あわせて8,000円ぐらい。全部新規に買っても1万円でおつりが来ます。
組み立てる前に、部品の検品。ボリュームのギャングエラー(左右チャンネルの音量のばらつき)を測っておきました。
抵抗値のカーブを測って……
左右の音量差を計算してデシベルで表す。
音量を絞り込んだときの差がちょっと激しいけれど、通常使う領域は優秀。よしとしましょう。
さて、組み立て。まず、部品をラグ板に半田付けしていきます。
背の高い電解コンデンサはケースの蓋にぶつからないように倒して実装していますが、ギリギリで収まりそうだったのでこの後に直立させました。
ケースは安いのに本体もパネルも分厚くて穴開けが一苦労。パネルは加工中にキズが入ると悲しいのでマスキングテープで養生しておきます。
リアパネルの入出力端子。
フロントパネルにはLEDをエポキシ接着剤で固定。
オリジナルの実体配線図では、片チャンネル15Pのラグ板に、もう一つのチャンネルは20Pのラグ板で、5P分の場所に電源回路を組んでいたのだけど、今回買った中国ケースでは15P分の長さが精一杯だったので、20Pのラグ板も端を切って15Pのラグ板2本に改造。電源回路はユニバーサル基板で横に置くことにしました。
トラブル発生。フロントパネルのアルミ板が厚すぎて、ボリュームやロータリースイッチのネジが届かない!
急遽、ケースの中にアルミLアングルでサブパネルを立てました。
結果、ケースの中はけっこう隙間無くぎっしり詰まりました。ヘッドホンジャックのところで1点アース。入力→セレクターのスイッチ→ボリュームへ来たアース線は、今は1点アースポイントに落としていますが、これはアンプ回路に流すように改良する予定。
AliExpressで40ドル出して買ったデザイン最低だけど音質なかなかなヘッドホン、TAKSTAR HI2050 をつないで試聴してみました。
第一印象は、すごく静かなアンプ。シロウトの耳ではノイズがまったく感じられない。ボリュームを大きくしても雑なザラザラした感じが出て来ない。なので、ついつい大きい音で聴いてしまいます。
動作はこれから測定してみますが、これ、かなりオススメですよ。電子工作がお好きな方はぜひお試しください。