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いろんな所属団体や肩書きを使い分けているため、個人的な集まり(たとえば、ギョーカイのパーティとか、オープンソースなソフトウェアのナニとか)などに顔を出した時にどの名刺を出したものか判断に悩むことが多かったもので、会社名が入っていない名刺をこしらえました。
デザインコンセプトは、高校生のとき同級生がなぜか持っていた戸川幸夫先生の名刺。縦書きで白い紙の真中に名前だけが印刷されていました。名前だけだと、私の場合は正体不明の怪しい人みたいなので、このサイトのURLとメールアドレスだけは入れて横書きにしましたが、外したくなかったのは活版で印刷することでした。
ご承知のとおり、印刷の世界は写植やDTPが全盛で、活字を組替えて印刷する活版印刷は絶滅寸前です。
今は家庭のプリンタで誰でもきれいな印刷物を好きな数だけ気軽に作れますが、子供の頃、名刺や年賀状のような自分用にパーソナライズされた印刷物を作ることはオトナだけに許される特別なことでした。その種の印刷枚数が少ない印刷物は、もっぱら製版コストの制約からだったのだとは思いますがたいてい活版印刷と決まっていて、紙が印圧でかすかに凹んだ活版独特の仕上がりはオトナの世界の象徴のように感じられました。今となっては、このアナログなゆらぎが醸す風格は写植やDTPじゃ逆立ちしても出せるもんじゃありません。活版印刷に造詣が深い
浅井英二さんによると、たとえば帝国ホテルあたりのメニューなんかは今でもシーズンの切り替えごとに何十枚かだけ活版で印刷するんだそうです。たしかに、インクジェットプリンタ打ち出しをゼロックスコピーしたメニューでは、料理の格が星2つぐらいは落ちそうな気がします。
そんなわけで、活版印刷で名刺を作ってくれるところをグーグル様に聞いてみたら出てきたのが、東銀座にある
株式会社中村活字。丸の内のオフィスから遠くないので、昼休みに出かけてみました。
プロの仕事人っぽいけど愛想のよい社長さんに活版で名刺を作りたいことを伝えると、最近そういう注文がとても増えているといううれしそうなお返事。Microsoft Publisherで作った“プロトタイプ”をお見せして「ここの名前のところは3号
*1だね。下の小さいの(URLとメールアドレス)は何ポ?8ポじゃ小さいかな?」などとお打ち合わせ。Webサイトにあるとおり、書体は明朝、ゴチック、楷書が選べます。英数字の書体も豊富です(次はフーツラライトにしよう)。原稿が決まったら紙を選びます。活版らしさが出るように厚手の紙にしてみました。社長曰く「厚いのがいいよ。ほら、厚いともらったほうも捨てにくいじゃない」。なるほど。
記念に名前の文字の活字を1セット下さいました。活版で名刺を作る人に渡しているのだそうです。
スミ1色片面で100枚2,000円(税別)から。名刺に存在感がなくて何か物足りないという方、強くお薦めです。FAXやメールで、遠隔地からの注文も受けてくださるようですよ。
注1:日本の活字のサイズは「号」という単位。初号=42ポイント。以下1号=27.5ポ、2号=21ポ、3号=16ポ、4号=13.75ポ、5号=10.5ポ……。くわしくは、中村活字さんの
ポイントと号数比較表や
Cyber Librarianの文字サイズについての説明ページ。
英数字のサイズはおなじみ「ポイント」。
センター長さんのコメント:
私の名刺は営業用ということもあって、ぽい捨てされないように、顔写真あり、見開きあり、というごちゃごちゃしたものになっていますが、シンプルなものもまたインパクトがありそうですね。
いままでもらった名刺を思い出してみると、VIPになればなるほどシンプルになる傾向があるように思います・・・