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巷ではジンギスカンが大流行のようです。就学前のガキだった1960年代からジンギスカン好きな私としては、ジンギスカンを食べさせてくれる店が増えてうれしい限り。ところが、ヒロキさんから教えてもらった新橋の名店「金太郎」なんか新しい店に引っ越して、名前も「金の羊」と改め、宵の口には店の前にずらっと丸椅子を並べて何十人も待ち行列ができる大盛況で、なかなか店に入れません。
しょうがないので、自宅でジンギスカンを食べる機会が増えました。
ジンギスカンの肉としては、ロール状になった冷凍ラムも昔のマトンみたいで懐かしくて好きなのですが、金太郎(改め金の羊)で出てくる厚切りの生肉を食べてしまったら、もう冷凍肉には戻れません。以前は冷凍ロール肉でも売っている店が少なくて入手に苦労したのですが、ブームのおかげで質のいい生ラムが結構簡単に手に入るようになりました。
最近特にお気に入りなのが、氏家師匠から教わった
男の台所というお店の生ラム。肉質がやわらかく、脂も適度についていて、ジンギスカン鍋の下に敷きつめたモヤシやタマネギに肉汁がじっとりとからんで、実に旨い。厚めに切ってごま油をまぶして焼くと、ひょっとすると金の羊よりもうまいかもしれません。
しかも、北海道のベル食品のジンギスカンのタレつきです。このタレは、スライスしたタマネギやおろしたリンゴといっしょに肉を漬けてから焼いてもいいし、札幌風に生肉をそのまま焼いてつけダレだけで食べてもおいしい、お気に入りのタレです。
それはともかく、ここのラム、生肉だと言うからてっきり国産、それも羊がたくさんいるにちがいない北海道産かと思ったらオーストラリア産だそうです。あれー?北海道じゃないの?
さらに、先日、北海道の
標津に鮭を釣りに行ったところ、宿の近所の肉屋さんに「生ラムあります」の貼り紙を発見。同行の大橋さんと「旨い(に違いない)北海道のラムが買えるぜ」と、喜び勇んで買いに行ったら、なんとそこで売っていたのはニュージーランド産。
いろいろと疑問が湧いてきました。
ジンギスカンは北海道のどこかの畜産試験場で軍服用の羊毛のために羊を増産するときに羊肉の消費を拡大しようとして作られたとか、戦後、羊肉を食べやすくしようと
お役所の職員の方がタレの調合を開発した、などという話を聞いたことがあります。北海道には羊肉がだぶついているんじゃないの?北海道産の羊肉はどこにあるんだろう?
だいたい、オーストラリアから生肉って、どうやって輸送するんだろう?生きたまま?それとも枝肉でチルド?船便?それとも空輸?
で、ちょっとググってみました。
中央畜産会系のWebサイト
畜産ZOO鑑によると、
- 今はもうマトン(オトナの羊肉)はほとんど消費されていなくて、消費の中心はラム(コドモの羊肉)がほとんどで、ホゲット(若めのオトナ)が少し
- そのほとんどがオーストラリアかニュージーランドからの輸入
- 国産羊肉は国内消費全体の0.4%、180トンだけでほとんど市場には出回らない
ということだそうです。
衝撃の事実。北海道には羊があふれているわけではない!
牛肉の輸入はほとんどが船便だと聞いたことがあります。牛肉は枝肉の状態で低温保存して何十日か熟成させて食べるので、船便で枝肉をチルド状態で熟成しながら輸送できるそうです。一方、
畜産技術協会のWebサイトによると、羊肉は牛肉と違って熟成させず、新鮮なほうがいいとのこと。チルド状態で空輸しているということでしょうか。輸入統計とかを調べるともう少し何か分かるかもしれません。
こうしてみると、手に入りにくい国産羊肉や、昔懐かしいマトンを食べてみたくなります。国産用肉は通販しているお店もいくつかあるようですが、くさいマトンはどこに行ったら手に入るんだろう。
缶入りもあるよ
最後に、今日のTips。そのままでもおいしいベル食品のジンギスカンのタレ。シナモンとタイムをちょっと足すと、また違ったおいしさが楽しめます。
もひとつ、今日の雑学。標津町の肉屋さんで買ったベル食品のジンギスカンのタレは、見慣れたオレンジラベルの瓶入りではなく缶入りでした。釧路・根室付近では、北洋漁業の船に積むために作られた割れない缶入りバージョンが定着したんだとか。
へぇ。
Yaginumaさんのコメント:
現状がどうなっているのかは全く知りませんが、当時は高級ラム肉はチルド状態で空輸していました。(昨年、青山紀ノ国屋の肉売り場を見たら、私が担当していた頃に作った「チルド・ラム」シールがいまだに使われていたので、懐かしいやら、びっくりするやらでした。)
電気ショックで殺したラムはハンマーで殴り殺すよりは熟成期間が短くていいと言うことでしたが、それでもチルド状態(-2℃)で3~4日の熟成は必要で、空輸して市場に出る頃が食べ頃だとのことでした。
当時、ロール状にする冷凍ラムの加工は韓国で行っていました。 冷凍枝肉を韓国に送り、お湯を張った風呂桶のようなものに放り込んで解凍してからロールに巻いて日本の北海道に送っていました。 多分、ひどく不味かったはずです。
ラムの脂肪の融点は人間の体温よりも高いのでダイエット効果が期待できる、と言うような話はその頃から既にあったのですが、ニュージーランド政府によれば「科学的には何も証明されていない。」と言うことで、広告には使えませんでした。
ちなみに、当時のニュージーランド・ラムの定義は「生後6ヶ月以内で、まだ草を食べていない子羊」で、6ヶ月を超えて1年以内のものを「ホゲット」と呼んでいました。
New Zealanderたちは、「オーストラリアン・ラムは生後8ヶ月も経っている。 あれはホゲットだ。」と悪口をいっていました。
私の好きなラム料理は、(1)ラム・チョップの天ぷら、そして(2)ラムのフィレステーキです。
(1)は、ラム・チョップの脂肪を切り捨てて、塩コショウし、骨付きのまま天ぷら衣を付けて揚げます。 絶品。 20本くらいは軽く行けます。
(2)ラムのフィレ肉(極めて入手困難かも知れませんが、1頭を丸のまま買えば2本取れます。)を3~4cm厚さの輪切りにしてステーキにします。 これも味付けは塩、胡椒のみ。 レア又はミディアム・レアで。 絶句。 1頭分のフィレを一人で平らげてしまいます。
骨付きラム・レッグのローストもいいですよね。 ホースラディッシュか山葵の醤油で。