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遅い夏休みを取って、北海道の
標津町にある
忠類川に鮭を釣りに行きました。
この川は平成7年に日本の河川で初めて合法的に鮭釣りができるようになって以来、
日本のサーモンフィッシングのメッカとなっている川です。
北海道の河川には、この季節になると鮭が産卵のために遡上します。8月ごろから
カラフトマス*の遡上が盛んになり、9月には本命の
シロザケ*が上り始めます。
鮭は大型で「引き」が強いので、世界的に釣りの対象として人気がありますが、日本の、特に北海道の「サケ・マス」は水産資源としてお上の厳格な統制下にあり、内水面(川や湖など、海面以外の水面のこと)での鮭を対象にした釣りはご法度です。
北海道の東の端、ムネオハウスのある国後島の対岸(距離、わずか24㎞)にある標津町は日本を代表する鮭の水揚げ地ですが、ここを流れる
忠類川では「サケ・マス有効利用調査」として特別に鮭を釣る許可がもらえます。現在、同じような名目で許可をもらって釣捕調査のできる河川が4つほどありますが、忠類川はその
パイオニア的存在*で、地元のみなさんの献身的なサポートもあり、サーモンフィッシングのできるフィールドとして大変人気があります。
釣捕調査の許可証は事前に
申し込み(現地ではできません)をしておきます。採捕従事者のライセンスが郵送されてきますので、それを忘れずに持っていって、現地で施設利用料を支払います。
標津の最寄の空港は中標津空港です。東京(羽田)と札幌(丘珠)からANKの定期便が飛んでいます。格安航空券が出回っていないのでかなり割高に感じます。
全日空のツアーがお得ですが、航空機のツアー枠の設定が少なく、他社にはツアー枠を出していないらしく、また特に今年はツアーの発表と申し込みのスタートが遅れて手続きがごたごたしたせいもあって、大変入手困難です。中標津への便が取れないときは、便数の多い釧路か女満別を利用します。どちらからも車で2時間ぐらいのドライブです。今回は、私たちもJASの女満別便を利用しました。空港からは
藤本さんが手配してくださったレンタカーで移動です。
さて、今年の忠類川は、遡上する魚がたいへん豊富です。右の写真はあるポイントの川面の写真です。写真ではやや分かりにくいかもしれません(写真下のという文字をクリックすると拡大したものが表示されます)が、川の中に黒っぽい筋がたくさん写っています。これ、全部、鮭(たぶんカラフトマス)です。
魚の多いポイントでは、フライをポイントに流し込むと必ず1、2回は
魚信があるほどで、フライをピックアップしようとして竿を上げると、近所にいた気の毒なマスが
スレ*で引っかかって来たりします。
初日の水曜日は標津に12時ごろに入りました。第一管理棟で藤本さんと落ち合って、食事もそこそこに午後いっぱい釣りをします。今回はIntuitの大橋さん、Microsoftの萩本さん、それから今回初挑戦のP&Cの森田さんとご一緒です。去年惜しくもボウズだった萩本さん、大橋さんにもさっそく釣果が出ました。森田さんはこの日はボウズ。
木曜日は調査休止日。鮭は釣れません。この日から合流したMicrosoftの眞柄さん、昨日からご一緒させていただいている長崎大学医学部の平木先生とで、忠類川の上流域にオショロコマを釣りに行きました。オショロコマ(カラフトイワナ)はイワナに近い種類の陸封型で小型のマスです。オレンジの斑点とひれの白い縁取りが特徴の、とてもきれいな魚です。
忠類川の上流にはオショロコマやヤマメが豊富にいます。川底の岩一つ一つに一匹ずつ隠れているのではないかと思うほどの量です。フライを1回流すと3匹ぐらいがフライめがけて突進してきます(根津甚八さん曰く「ワンキャスト、スリーヒット」)。ただし、このあたりはヒグマのテリトリーですし、様子がわかっている人に案内してもらうことをお勧めします。
フィッシングガイドをお願いするのがいいでしょう。ちなみに、このフィッシングガイドのページの背景にうっすらと写っているのは、80センチ級のオスのカラフトマスを持った眞柄さん。
夜はホテル川畑「フライの間」のウッドデッキでジンギスカンと網焼きなど。食べ切れません。
金曜日。雨です。水曜日ボウズだった森田さんに最初の一匹を釣ってもらえるように、キャスティングの練習から。第一管理棟エリアの最上流の魚影が豊富な瀬で釣り始めました。やや下流では眞柄さんが爆釣です。ここで森田さんがめでたくカラフトマスのオスを吊り上げました。おめでとう。
私はなるべくシロザケのいそうなポイントを集中してさぐります。しばらくやっていてと、魚がヒットしたとたん、ふにゃっと力が抜ける感触とともに、G Loomisのセミダブルハンドのロッドがジョイント付近から折れてしまいました。雨が強くなって雷もなり始めたのでいったん引き上げます。
雨が弱まるのを待って、藤本さんから試作中の忠類川オリジナルダブルハンドロッドを借りて旧第二駐車場付近の崖の下を探っていると、さっそくシロザケがヒットしますがバラシ。その後立て続けに3匹バラして、しぶとく粘った結果、ようやく念願のシロザケ(オス72㎝)が上がりました。
夜はフライの間で根室で上がったばかりの秋刀魚、チャンチャン焼き、シマエビなどなど。また、食べ切れません。
土曜日はお昼過ぎの飛行機なので、午前中だけ。昨日シロを上げているので気が楽です。カラフトマスに遊んでもらいます。カラフトマスのポイントでは文字通り「入れ食い」状態(といっても半分は食ってなくてスレ)です。10匹まで数えたところで憶えきれなくなって数えるのをやめました。
というわけで、あっという間に夏休みが終わってしまいましたとさ。腕の筋肉が痛い釣りでした。
*カラフトマス:鮭缶に使われている鮭。英名Pink Salmon。標津あたりで「ピンク」とか「マス」と言っていたら、これのこと。体長は50~60センチぐらいがアベレージだけど、まれに80センチぐらいの大物も出る。オスは川に上ってくると背中が突起してくるので「セッパリ」と呼んだりもする。
*シロザケ:日本で「鮭」と言っているのはこれのこと。いわゆる「アキアジ」。新巻鮭などとしてお目にかかるやつ。英名Chum Salmon、あるいはDog Salmon。「チャム」とか「シロ」と呼んでいる。体長は70センチぐらい。
白いTシャツの人が藤本さん
*パイオニア的存在:このあたりのいきさつは、
藤本さんが書いた文章を読んでみてください。
*藤本さん:藤本靖さん。忠類川での釣獲調査実現の仕掛け人。現在、
(社)北海道スポーツフィッシング協会会長。本職は
大津自動車興業の専務取締役。リバーキーパーが職業、というわけではない。
*スレ:釣り針が魚の口にかからずに、おなかやヒレや背中など、違う場所にかかってしまった状態のこと。針が口にかかると、魚は自由を奪われるので比較的コントロールしやすくなるが、背びれなんかにスレでかかってしまうと、フルパワーで逃げようとする魚との引っ張り合いになるので、やりとりが大変。