higuchi.com blog

The means justifies the ends

東京のヤマメもカマドウマがお好き

ハリガネムシっているじゃないですか。あいつら水生昆虫なんですが、陸生昆虫に寄生して育って、宿主の神経系に特殊な蛋白質を注入してコントロールして水に飛び込ませて、自分が水の中に戻るんですって。グロいのは見た目だけじゃなくて行動もなんですね。

ちょっと古い記事ですが、ナショナル ジオグラフィックのWeb版、川端裕人さんがいろんな大学の研究室を訪ねる科学ルポ「研究室に行ってみた」シリーズにこんなのがありました。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141030/422331/

フィーチャーされている研究者は神戸大学群集生態学の佐藤拓哉准教授。研究の対象はハリガネムシとカマドウマ、そしてヤマメ。
寄生虫のハリガネムシが宿主を操作して入水自殺させることが、ヤマメと水生昆虫を含む河川の生態系にどういう影響を及ぼしているかを研究しています。
このルポは本当に面白いのでぜひ通して読んでいただきたいのですが、連載1回目のサマリーで、いきなり釣り師の目が釘付けになるようなことが語られます。

引用します。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141030/422341/?P=5

「僕が研究してきた森では、渓流のサケ科の魚が年間に得る総エネルギー量の6割くらいをカマドウマを食べて得ていたんです。本州でカマドウマが、行動を操作されて川に飛び込む時期は、秋の3カ月くらいなんですが、その間に1年の6割のエネルギーを得てしまうという」

連載4回目に詳細が出てきます。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141104/422873/?P=4

「カマドウマが水に飛び込むのは1年のうちで3カ月くらいだけなんですが、その時期に渓流魚が得る総エネルギー量の9割以上くらいがカマドウマです。実はそれが1年のうちで一番たくさんエネルギーを得られる時期で、たとえば、冬に比べると100倍にもなります。ですので年間ベースに引き延ばしたとしても大きく効いてきて、6割ぐらいがカマドウマで説明できるんです」

佐藤先生が川のヤマメの胃の中身をストマックポンプで吸い出して調べた結果、カマドウマが体内に寄生するハリガネムシにあやつられて入水自殺する秋の3ヶ月ぐらいの時期(今です!)には、ヤマメは飛び込んできたカマドウマばかり食べてるんですって。
聞き捨てなりません。夏から秋のテレストリアル(陸生昆虫)フライって、アリンコがいちばんだと思ってた。カマドウマのフライを作らなくちゃ!

というわけで、できました。マシュマロ・カマドウマ。

フックは maruto の d31 #10。
ブラウンのスレッドで下巻き。
カマドウマの特徴である長い後ろ脚は、フェザントテイルのファイバーを束にして結び目を付けたもの。フックのシャンクの真ん中あたりに付ける。
前脚の位置にはシリコンラバーチューブのレッグ材をX字型にたすき掛け結び。
シマザキ マシュマロファイバーのシナモン色を2〜3本束にして、6Xのティペットで結んだところで折って、反対側をフォーセップでまとめてはさんで、ライターの火であぶってマシュマロボディを作る。
ボディの作り方は、シマザキさんのYouTubeビデオを見てまねしてください。
https://www.tiemco.co.jp/products/groups/view/1392
束ねるときに背中側のファイバーが長くなるように整形して、ボディが三日月型に湾曲するように作るとカマドウマっぽいです。
ボディをフックのアイとレッグの間あたりで留める。
ボディの上にディアヘアで小さいウィングをつける。ホンモノのカマドウマの翅は退化していますが、これはつけたほうがフライっぽいし、フロータントを塗る場所になりますしね。
そして、フックとボディの後ろ側に「ボンド ウルトラ多用途S・U プレミアムソフト クリヤー」をちょっと付けて固定。後ろ脚もボディに貼ると耐久性が増します。

最後に、ボディに茶色っぽいコピックでまだら模様を付けると見た目がますますそれらしくなりますが、これは完全に作り手の自己満足のため。たぶん魚からの見え方は変わらないし、マシュマロファイバーの繊維はコピックの顔料では染まらないので、使っているうちに色が落ちます。

(追記:フライの作り方、写真入りの記事にまとめました。「カマドウマのフライの作り方」をご参照ください。)

さて、本当に入水自殺するカマドウマを狙ってヤマメが出てくるのか、実釣してきました。

9月中旬、場所は東京・奥多摩にある、多摩川に流れ込む枝沢。
まず手始めに、この季節の定番のパラシュートアントで小さいポイントを探ってみたところ、まずまずの反応。
釣り上がって「ここはいそうだな」というポイントで、カマドウマに結び変えてフライを投げたところ一投目で出ました。

その次のポイントでも一発でこれ。

フォルスキャストの勢い余って、瀬の端にフライを落としたら、こんなチビも。

というわけで、マシュマロ・カマドウマ、東京のヤマメたちには大人気ですよ。

コメント

まだコメントはありません

コメントを書く

関連するかもしれない記事

カマドウマのフライの作り方

カマドウマのフライの作り方

ある研究によれば、秋のヤマメが食べるエネルギーの90%を占めるというカマドウマを模したテレストリア...

この記事を読む »

知床の川で鮭を釣ってみたい人のための手引き

知床の川で鮭を釣ってみたい人のための手引き

今年も北海道の川に鮭を釣りに行って参りました。 鮭釣りのお話はこれまでもパラパラとブログに書いて...

この記事を読む »

One cast, three hits [標津のヤマメ]

先日の北海道・標津での釣りのときに、藤本さんが撮ってくれた動画を少々。 1つめは、崎無異川...

この記事を読む »

カムイチェップ [鮭釣り用フライの作り方]

鮭釣りのシーズンです。 北海道・標津の忠類川で使われているオリジナルのフライ「カムイチェッ...

この記事を読む »

ヤマメ

奥多摩のヤマメ

少しでも釣りが上手になりますようにと、週末で時間があるときは早朝に起き出して奥多摩の川にフライロ...

この記事を読む »

ウェイトと下巻き

弾薬備蓄 [鮭釣り用フライの作り方]

毎年恒例、北海道・標津の忠類川への鮭釣り旅行の準備をしています。 「サケ・マス有効利用釣獲調査...

この記事を読む »

午前5時の国後島

忠類川速報 [サーモンフィッシング]

午前5時の国後島今年も北海道の標津町にあるに鮭を釣りに行きました。 事前の情報では、今年は川を遡...

この記事を読む »

新バージョンで復活 [サーモン専用フライロッド]

新製品のお知らせです。 忠類川の鮭釣りを知り尽くした、標津の藤本さん(北海道スポーツフィッシン...

この記事を読む »

カムイチェップ

神の魚とお立ち台 [鮭釣りのフライ]

今年も9月のアタマに北海道にサーモンを釣りに行けることになり、夜な夜な少しずつフライ(毛ばり)を用...

この記事を読む »

カラフトマス♀

Show must go on [忠類川の鮭釣り]

カラフトマスのメス夏休みをいただいて、恒例の標津、忠類川の鮭釣りに来ています。今年はシーズン前半...

この記事を読む »