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先日、会社のヒラヤマさんが唐突に聞いてきました。
ヒラヤマ「最近、アメリカでアマチュア無線人口が増え始めてるんですって?」
私「へえ、そうなの?」(むむ。拙者を第二級アマチュア無線技士と知っての狼藉、ちがう、質問か?)
とあるクライアントの依頼で音声コミュニケーションの現状について調べていたらそういう記事にたどり着いたんだそうです(たとえば、これ。
Ham Radio Growing In The Age Of Twitter)。知らなかった。
さらに続けて、こんな質問。
ヒラヤマ「アマチュア無線って、誰か相手を指定してしゃべるんですよね?その会話って、他の人にも聞こえるんですか?」
私「そうだよ。電波法上『特定の相手方』と通信してることになってるけど、電波出してるから、受信機持ってて周波数合わせれば誰でも聞こえる。」
ヒラヤマ「なんか、Twitter みたいですね!」
なるほど。
たしかに、Twitter の通信ネットワークモデルは、アマチュア無線とよく似てる。特定の相手としゃべっているという建て付けだけど、深夜のおしゃべり(ラグチュー、という言います)を他の人が黙って聞いていることってよくあった。
決定的に違うのは、アマチュア無線の通信内容は電波に乗っていてその場限りで消えてしまうけど、Twitter のTCP/IP上の通信内容はサーバーに保存されていて、あとから参照可能、かつ、検索でリーチできるようになっていること。それから、アマチュア無線は一応国家試験に通った無線従事者しか操作できなくて、通信機を持っている限られた人の小さなネットワークだけど、Twitter はインターネットにつながった人なら誰でも使えること。
アラン・ケイがよく引き合いにだす話だけど、グーテンベルグの聖書は大きくて重たくて持ち運べるものじゃなかったそうです。つまり、聖書が設置してある場所に出向かないと読めなかった。それを小さくして持ち運べるフォーマットにしたのはグーテンベルグから50年後の
アルドゥス・マヌティウス (Aldus Manutius)で、これによってはじめて書籍がポータブルになって大爆発したそうな。
(ちなみに、DTPの元祖、Pagemaker を作った、今は亡き Aldus 社の名前はこの人由来。ついでに、Aldus のもう一つの偉大な革新は、本のページにノンブル=ページ番号を付けて、本の中の情報へのランダムアクセスを可能にしたこと。パーマリンクの元祖だね)
メディアって、
- いつでも(時間の制約を外す)
- どこでも(場所の制約を外す)
- 誰でも(利用者の制約を外す)
という方向に進化するものだと思っているのだけど、グーテンベルグは大量印刷の技術で「誰でも」を実現しただけで、「どこでも」「いつでも」アクセスできるようにしたアルドゥス・マヌティウスのおかげで書籍というメディアフォーマットが完成したんだと思います。
そう考えると、いろんな場所の人と、
どことでも通信できるアマチュア無線の通信モデルを、
誰でも使えるインターネットの上に持ち込んで、後から
いつでも通信の内容を参照できるようにした Twitter ってかなりよくできた通信モデルなのかも、と思ったのでした。
ootaharaさんのコメント:
ツイッターといえば、そろそろビジネスモデルか何かの関連特許が出てくるタイミングだそうです。類似のサービスを展開する商用SNSの行方が気になるところです。
良かったらhiguchi.comでネタにしてやってください。