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以前にご紹介した写真集 “Creature”、すぐに初版が売り切れてしまい、中古市場でも200ドルぐらいのプレミアムがついてしまっていましたが、再版(いや、この場合は重版か……)されたようです。日本のAmazonでも6,000円ぐらいで手に入ります。
この手の写真集は初版で売り切りということが多いと聞きますけど、よかった。これは、ほんとにたくさんの人に見てもらいたい良書。

Creature
先月号のWiredの書評(オンライン版の書評はこちら)で見て注文していた“Creature”という写真集が届きました。想像通り、良い(そして、想像以上にでかい)。
蜂、カブトムシ、ムカデ、蛇、トカゲ、蛙、鯉、アロワナ、金魚、カナリア、イーグル、鳩、熊、リス、マンドリル、シマウマ、イボイノシシ、象、マウンテンライオン、トラ、レパード、チンパンジー……と、60数種類のいろんな動物の生き生きとした写真なんですが、全部バックが真っ白。背景がなにもないと、それぞれの動物がどこでどういうことをしているのかといった情報が取り去られ、かえって動物のしぐさが奇妙に浮き立って見えます。作者の後書きの言葉を借りれば、被写体をそのコンテクストから抜き出すと、被写体の意図・目的が消えて、行動・習性だけが残る、という効果。これは、かなり不思議で、おもしろい。動物の写真をこんなに熱心に見たのは何年ぶりだろうか。

作者はAndrew Zuckermanという人で、ニューヨークを拠点に商業写真やTV CMなどを手がけているようです。

掲載されている写真、撮影の様子の一部、そして印刷と製本の様子などを本の公式サイトで見ることができます。一見の価値、あります。
(本当に象やキリンやライオンを白ホリに立たせてたんだ……)
暗号
待ち合わせまでの時間つぶしに汐留の本屋を覗いていたら、『暗号解読』の文庫本が出ていたので買ってきました。評判通りに面白い。暗号の本でこんなに夢中になったのは中学生になった頃に読んだエドガー・アラン・ポーの『黄金虫』以来かも。

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WIRED
彼の地でも春が新しいことを始める季節なのかどうか知りませんけど、今月号からWIRED誌がリニューアルしていました。雑誌の方向性とか大まかな構成はそのままですが、アートディレクションが変更されてます。タイプフェイス(活字の書体)も全部新しいものに入れ替わり、よく見ると表紙のロゴも少し変わってます。
Webサイトは数ヶ月単位でほいほいとリニューアルするのが普通になってますけど、紙の雑誌のリニューアルはいろいろと大変そうだなあ、と思った次第。
シリコンバレーでコンサルティング会社をやっている渡辺千賀さんが書いた本〈ヒューマン2.0—web新時代の働き方(かもしれない)〉の出版記念パーティにちょっとだけお邪魔してきました。
渡辺さんは東大工学部を出て三菱商事に入り、スタンフォードでMBAを取ったのをきっかけにマッキンゼー、ネオテニーを経て、シリコンバレーで自分でコンサルティング会社をやっている方で、シリコンバレー技術系ベンチャーの生き方のOnとOffを綴っているブログ“On Off and Beyond”で有名な方です。共通の知り合いはたくさんいるようなのですが私は今まで面識がなくて、今回知り合いのうちのおひとりのご紹介でパーティに顔を出させていただいた次第。

さて、この本、帰りの電車の中で斜めに読んだだけですが、乱暴にまとめると、テクノロジーに自信がある“若者”向け「シリコンバレーで明るく楽しくヒーヒー言いながら働いて、あわよくば一発当てよう」というキャリア構築の指南書です。シリコンバレーという特殊な土地で、技術に明るい人間がなぜ重要視されるか、どのように重用されているか、どんなリスクを取っているのか、どんなチャンスをつかんでいるかといった一般論から、具体的にシリコンバレーでの仕事の得方、住まい方、働き方のような具体論まで、テンポよくぐいぐい読ませます。
個人的には、フリーランスという生き方についての説明が、ニッポンで自己流“流しの会社役員”をやっている私めにとっても「うん、うん」とうなずけるところがたくさん。
この感じ、なにかに似てるなと思って考えていたのですが、大滝令嗣さんが書いた理系ビジネスマン・エンジニアのための上向きプロフェッショナル人生のすすめ〈理系思考〉とどこか通じてる。
理系のくせにちゃんと上昇志向があるそこのキミ、この本とペアで読むべし。理系で技術に明るいからこそ、こういったまっとうで楽しい(リスクもきっちりある)人生が設計できるってもんです。

余談ですけど、今日のパーティで久しぶりにお目にかかった古川さんに「誰だか分からなかった。お互いに変わったねぇ。」とおなかをさすりながら言われたのはちょっとショックでした。そんなに変わったかなぁ。変わったのか。そうですか。
マーケティングの正式な基礎教育を受けていない工学部あがりのいんちきマーケッターである私にとって、経済学という学問は少々縁遠い感じがするのは否めません(もっとも、たとえば流体力学だって同じぐらい縁遠いのだけれど)。そんな私でも気軽に楽しく読めて、アタマがよくなったような気にさせてくれた経済学の本です。
FTのコラムニスト兼IFCのライター兼シェルのエコノミスト兼オックスフォード大学の講師である著者が、スタバのコーヒーの値付けのしかけといった日常的なトピックの裏にある枠組みを経済学的に読み解くとどう読めるか解説しています。
構成がうまい。目次を見ただけで読む気になっちゃうし、すらすら読めます。

原題は“The Undercover Economist”。Undercoverは『秘密活動をする~』といったニュアンスなので、直訳すると『隠密経済学者』(本書の本文中の訳では『覆面経済学者』)。前書きに
この本に出てくるのは、為替や景気循環の話ではなく、中古車市場の謎解きや、スーパーで無駄遣いをしないための知恵である。
読み終わることには、みなさんがいまよりもっと聡明な消費者になって、いまよりもっと聡明な有権者になって、政治家が吹聴する話の裏側にある真実を見極められるようになっていることを願っている。
とあるとおり、本を読み終わるころには、『隠密経済学者』として世の中を動かしている仕組みの裏側を考えるための知識とセンスの基礎が身につきます。
一貫して説かれているのは市場原理に基づく経済学の力を正しく適用すれば世の中の人々を合理的にハッピーにできるという信念。そこから出てくる結論の中には『グローバル化は地球環境にとっても、世界の貧しい人にとっても善である』『“搾取工場”製品をボイコットする運動は、そこで働く人たちの幸せのためにはならない』といった、センチメンタルな直感では一見残酷ですぐに受け入れにくいものもあるけれど、それを冷静沈着かつ明快に説明していて、心地よい読後感さえあります。

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昔から本の虫ということは全然ないのですが、それにしても新聞や雑誌をあまり読まなくなりました。雑誌で定期購読しているのはWiredNature、それから選択の3誌だけ。新聞は朝日新聞のみです。
朝日を取っていると、いろんな方から突っ込みが入ります。「えー、まだ新聞なんか取ってるの?(某正統派ドットコムメディア人)」とか「朝日、読むところないでしょ(某ベテラン広報人)」とか、「そんなサヨクなのはやめときなさい(某大御所Webデザイナーさん)」とか。
朝日に特に思い入れがあるわけではなくて、日和見と惰性の結果にすぎないのですが、もしなにか朝日新聞を取っている積極的な理由があるとすれば、それは丸谷才一とアーサー・ビナード両氏のエッセイかもしれません。

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閉じつつ開かれる世界
かつての仕事仲間で、今は東海大でメディアを研究する先生になられた水島さんが本を出版されました。以前、水島さんが“学生”時代に関わられていたNHKスペシャルの「変革の世紀」を題材にしてまとめた共著「NHKスペシャル「変革の世紀」〈1〉市民・組織・英知」は、噛み砕いて書かれた一般向けの本でした(この本、水島さんの項は不肖ヒグチへのインタビューをネタにして構成してくださいました)が、今度の「閉じつつ開かれる世界 ― メディア研究の方法序説」という本は、“単著”の超硬派の学術書です。
実は、まだ全然読みきれていません。なんと申しますか、今のところ「語りえぬものについては沈黙しなければならない」という気分です。はい。

うじいえ師匠はどう思われますか?と唐突にふってみたりして(笑)。
上司は思いつきでものを言う
集英社新書から出ている、上司は思いつきでものを言うという本を読みました。たいそう売れているようなので、もうお読みになった方も多いと思いますが、まだ読んでいない方へ。
これは、お勧めです。
カバーの見返しのところに印刷してある文章(まえがき、じゃないし、なんて言うんですかね)には、こう書かれています。
この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを、儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男たちが、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものがすきなのか。こんな「なぜ」も見えています。そして、では日本はどうするのか――「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司のみなさんにも、上司でないみなさんにも、懇切丁寧な今後の道中案内の書であります。

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新生「ペンギンのペンギン」
新生「ペンギンのペンギン」
1980年代の前半にリブロポートという出版社から出ていた「ペンギンのペンギン」という絵本がありました。
もとはアメリカのデニス・トラウトという人が文を書き、トム・カレンバーグという人が絵を描いた Penguin's Penguins という英語の本で、それを谷川俊太郎さんが訳したものなのですが、これがなんともテツガク的な素敵な絵本なのです(ちなみに、作者のトラウト氏は哲学士で、劇場の支配人やグロサリーストアで働きながらピアノ弾きをやったりして、プログラマーになったという経歴。いるな、そういう人)。
残念ながらリブロポートがなくなって、いまや手に入らなくなってしまい、復刊ドットコムでもじわじわと復刊を求める投票がたまっていたのですが、このたびめでたく中公文庫の「てのひら絵本」シリーズから復刊されました。

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