The means justifies the ends
興味がない方にはまったくもって「なんのこっちゃ?」というお話でしょうが、XTC の 1986 年のアルバム「Skylarking」は、実はマスタリングの際に極性がひっくり返ってしまう間違いがあったことが最近わかって、それを直した「Corrected Polarity Edition」と称するリマスターCD盤が、XTC メンバーの Andy Partridge 本人のレーベル Ape House から発売されました。
Ape House Records: http://ape.uk.net/
アマゾン様に予約していたら今日届いたので、古い盤を引っ張り出して聞き比べてみたら、あらびっくり。
本当に、サウンドが違う。ベースやタムが前に出てくる感じ、ギターは豊か、シンバルや金物は伸びやか。前の盤がスカスカに思えるぐらい。今まで20何年聴いていたのは、間違いだったの?
このアルバム、作っているときにプロデューサーに迎えた Todd Rundgren 先生と XTC メンバーの間に確執が起こってゴタゴタしたと言われているのですが、今回の「極性がひっくり返っていた」事件について顛末をまとめてあるブログ記事や、新盤のブックレットに載っている文章によると、Andy Partridge の主張は「トッド・ラングレンのスタジオでマルチトラックの機械から2チャンネルステレオにミックスダウンする機械の間の結線のどれかの極性がひっくり返っていたのだが、マスターを出したアメリカのトッド側のエンジニアも、それを受け取ったUKのバージンレコード側のエンジニアも、誰も気がつかずにそのままリリースしてしまった」とのこと。
Reissue of XTC’s ‘Skylarking’ with ‘corrected polarity’ finally coming to CD: SKYCING UP EYEBALLS
http://www.slicingupeyeballs.com/2014/02/24/xtc-skylarking-corrected-polarity-reissue-cd/
ただし、トッド・ラングレンはこれには反論していて、トッド先生のスタジオ仕事についてのドキュメンタリー「A Wizard A True Star: Todd Rundgren In The Studio」を執筆したミュージシャンの Paul Myers(オースティン・パワーズでおなじみ Mike Myers の兄弟)のブログ記事へのコメントで「自分が作ったマスターは最終的に採用されなかった。バージンレコードの A&R が、アルバムの中の一曲 Dear God を外すと決めてマスタリングしなおしている。だから、本当に移相(極性)問題があるとすれば(ないと思っているけれど)イギリスのラボで曲順を切り直すときに起こったんだろう。で、その後、Dear God がシングルヒットしたから、また入れ直してるんだがね」と言っています。
トッド・ラングレンのコメント
http://pulmyears.wordpress.com/2014/04/01/xtcs-dave-gregory-plays-the-fool/#comments
どうやら、本当にゴタゴタしていたらしいけれど、なにはともあれ、新しい盤はとってもいいサウンドでございました。
当時外された Dear God も、バージンレコード側に差し替えられた18禁のジャケットデザインも復活しております。