オンラインコミュニティのシステムなんかを企画していると「日本市場にこだわらずに、言語や文化に関係なく世界中の人が使えるサービスにしよう。そのほうが市場規模もでかいし。」というアイデアが出てくることがままありますね。
でも、それって短絡的にそのまま実行しちゃうと、たぶん失敗すると思う。


成功するオンラインコミュニティは、中の参加者が外の人を巻き込んで自己増殖しながらネットワーク外部性を強めていくというエコシステムが組み込まれているものだけど、その一方でコミュニティの参加者は自分たちのコミュニティの中の人と異質な集団が近くにいることを嫌う性質があるのだと思う。
この異質な集団同士が、それぞれお互いの存在を気にしなくていいように、隔離壁のしかけをしっかり作っておかないと、コミュニティ全体を見ると特定の集団だけが増殖して他の集団が逃げていく現象が起こるのですね。

Orkut と Lingr

たとえば、Google のorkut.comは気がついたらブラジル人が他の人たちを駆逐してしまったし(Alexaによる分析)、インフォテリアがアメリカ発の実験サービスとして立ち上げた Lingr も、日本人ユーザーが増えてトップページに日本語が目立つようになったらアメリカ人ユーザーが減って、今ではすっかりイラン人の裏コミュニティになってる(これはこれで、バリューがありそうだけどね)。
そんなわけで、いろんな異質な集団が共存するコミュニティシステムを成功させるには、集団同士を一緒に混ぜてはいけない。むしろ、隔離されたバーティカルな小さいコミュニティが林立しているイメージのほうが成功しやすいと思います。
システムを共通化・横展開するのと、コミュニティをいっしょくたにするのは、別の話なのです。

投稿者 樋口 理

「言語や文化の壁は取り払ってはいけないんじゃなかろうか [オンラインコミュニティの居心地]」に7件のコメントがあります
  1. Ligr.comのイラン人ユーザー数がダントツでトップ、というのが面白いですね。

  2. これはその通りですね。
    バイリンガルカルチャーな人が見落とす過ちの一つですね。
    一方、でかい市場が欲しければスペイン語か英語か中国語にフォーカスするのが正解だと思います。

  3. また、日本人から見て、英語と、クロスカルチャー行動様式の壁がいかに高い化は、WoW/FF11などのオンラインゲームをやると実感できます。
    FF11クロスカルチャーなゲームですが、グローバルでオープンな人もいますが、大多数の日本人ユーザーは、日本人クローズドなコミュニティを好み、言語はおろか行動様式の段階で外人を忌み嫌います。
    おそらく、他の言語へのバリアが高い言語コミュニティーというのがあるのだと思います。

  4. 一応、インフォテリアとえじけんの名誉のために書き添えておくと、Lingrに関して言えばCometの実装が主目的で、コミュニティを作ること自体には主眼を置いていなかったので、これはこれでよしなんでしょう。知見も得られたし。
    言語のバリア以外にも文化的バリアはあると思っていまして、たとえばケータイコミュニティでぢょしこーせーとヲタを混ぜてはいけないとか、まあ、いろいろと。

  5. 確かに、同一言語内部での、カルチャーセグメントの違いも大きいですよね。
    あと、ネット系では、「初期ユーザーの常識は非常識」または、初期ユーザーは普及の障害、てのがあります。
    初期ユーザーは、情報に敏感だったり、グローバルだったりするのですが、実は常識や行動様式が大多数のユーザーと異なります。
    この辺、「初期ユーザーの声」を大切にしすぎると、拡大にブレーキがかかることが多いですよね。

  6. 初期ユーザーの罠は、ありますねー。
    自分自身が普及の障害にならないように、開発途上のサービスに口を出すときは、本当に気をつけないと……。

  7. ちがいますぞw
    利用者として割り切れば、初期のユニークでおいしいところを食い散らかす。
    それぞ醍醐味w

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