衆院選が終わりました。
選挙期間中にインターネットの上で選挙のことを「いじる」といろんな筋からいじめられることがあるということを、某ポータルサイトのお仕事をしていたとき学習したのでじっとがまんしていたのですが、選挙期間中どうしても気になっていたことがあるのです。
朝、いつもの習慣で流しっぱなしになっていたNHKのテレビで、ある野党の政見放送が流れていました。そこの党首の、小学校で標語を暗誦する学級委員みたいな調子の演説の中に「○○党は、憲法9条を変えて、日本を戦争のできる国にさせません。」というフレーズが入っていました。字幕もついていて、このとおりの句読点が打ってありました。さて、ここで問題です。この政党は、憲法9条を変えたいのでしょうか、変えたくないのでしょうか。
もちろん、いくらノンポリの私でも、この人たちの主張の内容は「憲法9条を“改正”して日本も戦争ができる国にしたい、という他党の動きに○○党は反対する」だということぐらいは、分かります。分かりますけどね、こういう語順でこの句読点は、どうだろう。これじゃ「○○党は、憲法9条を変えて、」まで聞いたところでは、9条を変えたいのだとしかとれない。
この信条を金科玉条として本気で訴えたいのならば、この作文はいけない。言い換えると、このポリシーを、ターゲットオーディエンスである有権者のハートをわしづかみにするシンプルでインパクトのあるメッセージとして打ち出したいのならば、こんなコピーライティングじゃいかんでしょう。自分でできないなら、ちゃんとしたコピーライターを雇えばいいのに。
その後、政見放送は、この党首と茨城の選挙区の候補との対談形式のプログラムに続いたのですが、そこでの党首さんの第一声は「イバラギのみなさん、こんにちは」。これを聞いたイバラキ県の有権者の70%(推定)が政治信条に関係なくこのヒトに失望したにちがいない。いや、ひょっとしたらイバラキと言っていたのかもしれないですけど、少なくともイバラギと聞きちがえるような発声だったことは間違いない。本当にコトバの力で
たまたま眺めていた党の政見放送のことだけ書きましたけど、実は特にこの政党だけがどうとかということではなく、全般的にニッポンの選挙運動はパブリック・リレーションズとか、もっと広くマーケティング全般のノウハウをきちんと導入したほうがいいと思うのです(マーケッターのみなさん、ビジネスチャンスです。僕らにはAIDMAの神がついている)。とくに、劇場型政治においては、ね。
さて、今日のお勧めは本多勝一の「日本語の作文技術」。本多勝一という名前を聞いただけで思考停止的に拒絶反応してしまう方もいらっしゃるかとは思いますが、そういう方もこの本はきっと学ぶことが多いと思います。
冒頭の政見放送の文章を字幕で見てまっさきに思い浮かべたのがこの本だったのですが、テン(、)をどこに打つべきか、あるいは打つべきでないか、一つの語を複数の語が修飾するときにどういう語順で言葉を並べるべきか、といったことを理論的に説明、ルールづけしてあって、この本の最初の何章かに書いてあることを実践するだけで、自分の伝えたいことが誤解なく確実に読者に伝わる文章が誰でもめきめき書けるようになる本です。
お久しぶりです。このblogには、はじめて書き込みします。
本多勝一の「日本語の作文技術」まだお持ちでしたか。私の持っていた本はどこかにいってしましました。作文の苦手な理科系には、なかなか役立つ本だったと記憶しています。
ああ、これはセンター長様。お久しぶりです。
「日本語の作文技術」と「実戦・日本語の作文技術」は、いつも職場の上に置いてあります。
文章を文学的にするのには使えないとおもいますけど、おっしゃるとおり理科系の人間がメッセージを的確に伝えるための文章を書く技術をつけるのには大変役立つ本だと思って、ことあるごとに人に勧めているんです。
そのうち、PET診断の相談をさせていただくかもしれません。いや、とくになにかあったという訳ではないんですけどね。
樋口さん、こんばんは。iPod miniをウーロン茶28本目で当てた大阪の山中です。:-)
政治に関しては私もまったくもってノンポリなのですが、とりあえず義務をはたす、いや権利を行使するために毎回かかさず投票しております。で、今回、私の居住する大阪7区という地域には新人の女性が立候補されていたのですが、彼女の名前、南西諸島にありがちな漢字三文字でして、IMEなしには日本語がかけない私には難しいなぁと思っていたのですが、投票場に行ってびっくり。フルネームが"ひらがな"なんですね。否が応でも目立つわけです。これは勝つなと思ったら案の定当選されておりました。やっぱり選挙は戦術が勝負ですね。はい。
ひぐちさん、ご無沙汰してます。U猫です。
恥ずかしながら、「日本語の作文技術」、全く知りませんでした。このサイトを見て、すぐにamazonに注文。昨日、受け取りました。
読んでみて、感動!とっても参考になりました。いや、これからも参考になると思います。
ありがとうございました。
やや。ご存じなかったですか。お役に立てて、なによりざんす。
今朝の朝日新聞の広告を見ていたら、この本、新装版が出たそうです。売れてるのね。