丸の内三菱村界隈は言うまでも無くオフィス街で、ビルの中はオフィスばかり。一部のビルの地下は飲食店街になっていますが、以前いた渋谷などに比べると、飲食店のキャパは圧倒的に不足しています。その上、その飲食店で供せられる食事は徹底的なオヤジ仕様。ボリューム満点、脂たっぷり、炭水化物至上主義でインスリンの分泌を促すことこの上なし。こんなのを毎日食べ続けていたら、でっぷり腹の出たりっぱなオヤジに育ってしまうこと請け合いです。
そんな丸の内の昼食事情を救っているのが、昼時にやってきて路上でお弁当を売ってくれる業者さんです。

お弁当屋さんの弁当はボリュームも適切で、それなりに栄養のバランスもよく、いくつかの業者が出ているのでメニューのバリエーションも豊富で、値段も380円味噌汁付き~600円のエスニックと、大変リーズナブルに設定されています。コンビニもろくに育たない砂漠のような街においては、大変貴重な栄養源です。
さて、今日も弁当を買いに通りに出てみると、どうも様子が違います。いつも買っている380円弁当のミニバンがいませんし、そのコンペティタの380円味噌汁付き弁当のおねえさんも撤収の準備中。よく見ると、エスニック弁当のワゴン車に丸の内署のおまわりさんがなにかごにょごにょ言っているし、往来の真ん中に仁王立ちになった別のおまわりさんが過激派をマークする公安よろしく弁当売りを写真に収めています。どうやら、ここで商売をするなと追い払っている様子です。私のヘルシーでリーズナブルな昼食が奪われるのはかなわないので、おそるおそるそこで写真を撮っていた公権力に「おいこら、そこ、なにをやっておるそういうことをされては、庶民が困ってしまうんだけどなー」と声をかけてみました。
その公権力の話では、近所(って、ビルの地下食堂街以外にないけど)の飲食店から110番(!)に「不法な営業をされて営業妨害なのですぐに弁当屋を排除しろ」と通報があったとのこと。時々思い出したようにそういう通報が来るので、無視するわけにもいかず「注意」しに来た(そういえば、駐禁の切符は切っていない様子)ところだとのこと。110番されて出動しないわけにはいかず、お弁当売りの人からは哀願され、お弁当を買いにきたサラリーマンやOLからは弱いものいじめをする悪者扱いされ、できれば早く「注意」を済ませて署に戻りたい様子でしたので解放して差し上げました。おまわりさんも人の子。お気の毒です。
こうしてみると、110番通報をしているという地下飲食店街の人の性根が腐っていますね。もともと供給不足で新しい競争も起こらないので、それにあぐらをかいて、ニーズに合わない(しかも質の低い店が多い)食事を高い値段で供給し続け、そんな食事でも仕方なく行列を作って待って食ってやっている「お客様」にあごで指図するような店、まともな街で商売していればとっくにつぶれていておかしくないのですが、このぬるま湯のような環境では生き続けています。競争がないというのは恐ろしいことです。
丸の内の仲通りは、お昼休み時間には車をシャットアウトして歩行者天国状態になります。どうせなら、そこの路肩を1時間限定でお弁当屋さんに貸して商売をさせてあげればいいのに。公道がだめなら、空いている駐車場スペースでも、銀行や証券会社の店舗が統合した後の空き店舗でもいいや。地下のお店も110番で排除するなんて陰湿なことをせずに、堂々と同じところにお弁当売りのワゴンのテナントを出して勝負するがいい。どうせ行列待ちで逃しているお客さんなんだから……なんてことをふと思ったりしたのでした。三菱地所さん、丸の内の健全な活性化のために、ぜひひとつ。