ゲイツ様の財団の話が出たついでに思い出したこと。
Wiredの去年の9月号に載っていた
Clive Thompson Explains Why We Can Count on Geeks to Rescue the Earthというコラムに書かれていた興味深いお話です。
アメリカのPaul Slovicという心理学者の最近の研究(
Psychic Numbing and Genocideのことかな?)などによると、人間の「この人を救いたい」という感情は、救うべき対象の人数が一人のときもっとも強く、救うべき対象が多くなると逆に弱くなるのだそうです。
たとえば、アフリカの飢えた少女1人の写真を見せて、その子を救うための募金を募った場合の募金額より、飢えた少女と少年の2人いっしょの写真を見せた場合の募金額の方が15%も少ないとか、別の実験では8人を救うための募金額が1人を救う場合の半分だったといった結果が出たそうです。
これは、Slovicによれば、音が大きいときにはちょっとした音の違いが聞き分けにくくなるのと同じように、人間の感覚機能がもともとそのようにできていると考えられるとのこと。
で、このコラムを書いているClive Thompsonは、ゲイツ様はGeekでメガとかテラとかペタといった巨大な数値を淡々と具体的に勘定できるので、そういった普通の人のような感情の麻痺が起こらず、「1人を救うために必要な金額×何百万人だから、これだけ寄付しよう」という計算の結果、「正しい」金額の寄付ができるのだ、と主張しています。なるほどね。
対照的に、チャリティやドネーションの話をまったく耳にしないジョブス様(
Jobs vs. Gates: Who's the Star?)はやっぱりGeekじゃないのかもね。
気がついたら年が明けていました。この業界の年明け一番のイベントと言えば、米国のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)と、Macworld Expo。もういろんなところで紹介されているので見た人も多いと思いますが、今年のCESのキーノートスピーチで流れたビル・ゲイツのビデオが笑えます。
ご存じの通り、ビル・ゲイツは今年の7月にマイクロソフトを引退して財団の仕事に軸足を移すので、CESのキーノートスピーチも今年で最後。そのスピーチの中で流した、ビル・ゲイツ最終出社日のドキュメンタリーという作りのセルフパロディです。
アメリカの企業トップのスピーチでこの種のビデオを制作して流すことはよくありますが、このビデオはちょっと出来が違います。ビル・ゲイツが今後情熱を傾けたいことをいろんな友人に相談して、みんなからやんわりとダメを出されるという自虐的ギャグ仕立てなのですが、出てくる「友人」がとにかくゴージャス。
世間的にはスピルバーグに「お金で買えないモノもあるんだよ」とつぶやかせているシーンとかが特に自虐的ですけど、業界的にはMicrosoft Bobを笑いものにしているあたりが余裕を感じさせつつおかしい。
ゲイツ様ってDemocratなのかしらん。
献金額ではよくバランスしているようだけど。いずれにしても、Running Mateにしてもらうのはいかがかと思いますです。